暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
天秤宮の憎悪
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

何かに取り憑かれているかのように、ただ己の目標だけを見つめている眼を―――――。

「オレは・・・がっ!」

グレイが言いかけ、止まった。
否、パラゴーネによって止められた。
小さく動いた右手が、グレイを押し潰すように重力を操ったのだ。
その為、グレイは今髪が逆立ち、腰を落としたような体勢である。

「それ以上言わなくていい。私はお前を憎んでいる訳でも、お前を責めている訳でもない」
「は・・・?」

淡い桃色の光が天へと昇っていく。
腰を落とした体勢のまま、グレイは淡い桃色の光越しにパラゴーネを睨んだ。
が、パラゴーネはそれに臆する訳でもなく、変わらない調子で呟く。

「むしろ私は以前よりウルを尊敬するようになった。弟子を守るべく己の命を犠牲にする・・・万人が出来る訳じゃない。私はお前に感謝している。尊敬の思いが強くなったのだから」

ペコリ、と小さく頭を下げ、パラゴーネは足を進める。
グレイとの距離を縮め(ここにジュビアがいたら間違いなくパラゴーネは恋敵に認定されるだろう)、グレイを見下ろす。
そして―――――その表情が、冷酷へと変わった。







「だから、お前を駆逐する」







矛盾している、と思った。
感謝している、と言ったのはこのパラゴーネのハズ。
が、1分と経たずにパラゴーネはグレイを駆逐――――つまりは殺すと言った。

「テメェ・・・言ってる事が矛盾してるぞ」
「解釈している。私はお前に感謝している故に駆逐する。お前はあの男に1番近い存在・・・在世させたくない」
「あの男だァ?誰の事言ってんだ」

もっと単純な言葉があるだろうに、敢えて複雑な言葉を使うパラゴーネ。
その言葉にグレイは眉を顰めて首を傾げた―――――つもりだったが、押し潰すような重力のせいで傾げられなかった。

「私が誰よりも憎悪する男・・・本来なら、お前に次いで奴に近いティア嬢も駆逐したいけど、ティア嬢は駆逐不可能だから絶念する」

ギリ、と食いしばった歯が小さく音を出す。
紅蓮の瞳が見開かれ、怒りに燃える。
握りしめた拳が感情を抑え込むように小さく震えた。

「絶対に駆逐する・・・絶対に存世させてはおかない・・・」

術者であるパラゴーネの怒りに反応するかのように、重力が小さく威力を増していく。
それに対して表情を歪めながら、グレイは口を開いた。

「っ・・・テメェがそこまで憎んでる奴って誰だよ!?オレとティアが近いって・・・」

そこまで言いかけ、止まる。
止まったと言うより、気づいたのだ。
パラゴーネが憎む男の名が。

「まさか・・・」
「気づいたか」

紅蓮の瞳が怒りに輝く。
怒りと憎しみに、表情が歪む。
そして、パ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ