盗賊-フーケ-part1/板挟み少年一人
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連れて行くつもりよ!待ちなさいってば!!」
急にサイトを引っ張り出すキュルケ。そんな彼女を、いつものような不機嫌顔で彼女を追いかけて行った。
ルイズたちが授業を受けている間のこと…。
学院長室でロングビルは書き物を一通り終えると、オスマンの方を向く。机に伏せて眠りこけていた。すると、彼女はまるで物語に登場する悪役の女性のような、妖艶で不敵な笑みを浮かべだす。周囲の音を消す『サイレント』の魔法をかけ、学院長を出る。今の時間は生徒は廊下を通らない。その上教師は授業に当たるものや職員室にこもっている。侵入者対策に、平民の衛兵とは別に教師による見回り当番を設けているのだが、どうせ賊など来ないしたいした相手でもないと言う慢心と油断が大きな隙を見せていた。
今、ロングビルがこうして宝物庫の前に立っているように。しかし、この学院の教師であるはずの彼女がどうしてここに来たのか…?
「扉にかけられし戒めを解き放て」
彼女は宝物庫の錠を杖で軽く叩いて見せた。アンロックの魔法である。しかし何も起こらない。いや、まさかこんな重要なものを隠してそうな扉にコモンマジックが通じるはずもないか。なら、自分のような土のメイジが得意とする『錬金』ならどうだろう。宝物庫の分厚い扉に向けて杖を振った。魔法が扉に届きはしたが結局それだけで、待ってみても扉に変化はない。
「スクウェアクラスのメイジが『固定化』をかけていたってことね。全く手間ばかりかかるねぇ。何かいい手段はないかしら…?」
メガネを掛け直したロングビル。自分は土の魔法に関してエキスパートだと自負しているが、得意の錬金を全く受け付けないとなると扉を開けるのは困難だ。
「そこで何をしているのですか!?」
見つかった!?ロングビルは驚きはしたが、すぐに振り向こうとはせず、冷静にゆっくり背後を振り返ってみる。そこにいたのは、ルイズたち二年生の春の使い魔召喚の儀式に付き合っていた、同じくこの学院に努めている中年の男性教師、コルベールだった。
「おや、ミス・ロングビル。なぜここに?」
てっきり狼藉者かと思っていた彼は目を丸くしている。ロングビルは愛想のいい笑みを見せて言った。
「ミスタ・コルベールでしたか。いきなり話しかけられたので驚きました。宝物庫の目録を作ろうと思ってきたのですが、うっかりオールド・オスマンから鍵をお借りするのを忘れてしまって…」
「それは大変ですね。ここの宝物庫はひとつずつ見て回っても一日以上はかかりますぞ。ガラクタもひっくるめて所狭しと並んでおりますから」
「あ、そういえば学院長は今眠ってしまわれてたのを忘れてましたわ。あの方は一度寝るとなかなか起きませんのに困りましたわ…」
「やれやれ…あの学院長は…。後で私も伺うとしましょうか」
「助かります」
宝物庫
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