盗賊-フーケ-part1/板挟み少年一人
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中で絶望の喚き声を上げるゼロに、サイトもまた喚いて黙らせようとすると、サイトは急に後頭部を叩かれた。
「痛!?」
「あんたこそ神聖な学び舎で何をそんなに喚き散らしているのよ!!うるさいったらないわ!」
振り向くと、授業を終えてきたルイズ・キュルケ・タバサの三人がそこにいた。
寮に戻っている途中、サイトはルイズからねちねちと説教されていた。他の生徒の迷惑になるからギャーギャー喚くなとか、邪魔になるような場所をうろつくなとか、女子生徒のスカートを覗くような真似をするなとか、主人というよりもまるでどこか母親臭い内容だった。実際キレたルイズもうるさすぎて敵わないが…。
「全く、使い魔やっている以上はちゃんとそれらしく様になるようにしておきなさいよね」
ふんと不機嫌そうにふんぞり返るルイズを見て、サイトは頭の後ろを掻く。そんな二人を見てクスクスと笑いながらキュルケはサイトを見る。
「ねえダーリン。ダーリンってウルトラマンに詳しいでしょ?あの銀色の巨人は見たことないの?」
キュルケからそう言われると、サイトの脳裏に、モット伯爵の屋敷周辺で遭遇したあの銀色のウルトラマンの姿が浮かぶ。突如現れ、怪獣を倒して苦戦していた自分を結果的に救った謎の戦士。まるであの時の自分とあの巨人は、数年前に怪獣との戦いで苦戦を期したメビウスと初めて世間にその姿を見せたときのツルギのようだった。
『ゼロ、今はわだかまりなしで聞くぞ。あの銀色の巨人は誰なんだ?』
あれから一つできるようになったことがあった。直接口に出さず、サイトとゼロが互いに言葉を交わす、つまり同化している者同士のテレパシーができるようになった。気づくのが遅かったが、正体を隠しつつ怪獣や星人と戦う道を選んだ者にとって結構便利な能力だ。
『知るかよ。俺の故郷はたいていシルバー族・レッド族・ブルー族の三つに大まかに振り分けられる。けど、あんな姿のウルトラマンなんか見たこともない。シルバー族かブルー族に近い顔だったけど、あの時のウルトラマンはその二つの族の特徴がほとんどなかった。あの枝分かれした形のカラータイマーみたいなのもそうだったし、どの族にも当てはまらない。宇宙警備隊にもあんな姿の奴はいなかった』
そうか…完全未確認の、新種のウルトラマンということなのだろう。そう結論付けたサイトはキュルケに向かって首を横に振った。
「わからない。俺も初めて見るウルトラマンだった」
あんな姿のウルトラマンは直接見たら一生忘れることはない。それだけ変わった姿をしていた。
また、会えるだろうか?銀色の巨人に思いを馳せるように、遠い空を眺めた。
「そうだわダーリン、そんなことよりももっといいものがあるのよ。ちょっとついてらっしゃい」
「え、おい、おいキュルケ!」
「ちょっとキュルケ!人の使い魔をどこに
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