盗賊-フーケ-part1/板挟み少年一人
[4/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
に合わなかった。それを悔いた彼は地球人「ヒビノミライ」として留まるために彼の姿を借りたと言う』
なんてことだろうか。異世界かどうかはわからないが、ウルトラゾーンという穴に飲み込まれたこのバン・ヒロトという青年は生きて帰ることが叶わなかったという。
よくよく考えれば、二機の飛行兵器の一方のみが帰ってきた、その記録の筆者が戦友を見つけたという記述はどこにも見当たらない。つまり、たとえ異世界が存在していると言う確証が持つことができても、それがサイトを連れ戻すための手段になるわけではないし、保証が付く訳ではないのだ。
この残酷な記事の著者を、ハルナは恨みたくなった。
またしても途方に暮れるしかなくなった。一体ここからどうすればいい?どうしたらもう一度サイトに会えるのだろうか。アンヌを安心させてあげたい、サイトにもう一度自分の目の前で笑って話をしたい。一途に思いを強めていく
もう夕方だ。家に帰らないと、両親の雇ったハウスワーカーの人が心配する。彼女は図書館を出て、一人寂しく帰り道を辿って家へ戻っていく。
「平賀…君…どこへ行ったの…?」
顔を見たい、声を聴きたい。言葉を交わしたい。
もう一度、触れたい…。夕日に照らされた彼女の頬を滴り風に溶けて行った涙は、黄金色に輝いていた。
先日の一件で、ゼロはサイトへの評価を著しく格下げしていた。自分の意思とサイトの心が全く釣り合わず、よりにもよってたったの5m程度の大きさにしか変身できず、しかもノスフェルに全く歯が立たなかったことに不平を漏らさずにはいられなかった。
『ったく、お前のせいでこの前の戦いはさんざんだったぜ』
そろそろその日の授業が全て終わり、教室を後にするルイズを迎えに行くサイト。その日はずっと他のメイジたちが使役する使い魔たちが待機している中庭や、シエスタたちのいる厨房に行ったり来たりの繰り返し。それ以外は、ゼロと会話の時間だった。人目にある場所が多い上にサイトが一人でいられる時間も限られているので、ゼロとの会話は互いの不満が降り積もる状況下だと、ずっと言わずにいた鬱憤晴らしを互いに吐き散らす時間になりつつあった。
「なんで俺だけを責めるんだよ」
実際あのチビトラマン状態の原因の一端はゼロ自身にもあるのに、それをゼロは認めようとしていない。納得しかねるとサイトは、左腕に装備されたブレスレッド状のテクターギアを通してゼロに言いかえす。
『お前は黙って、俺に体を貸しておけばそれでよかったんだよ。だってのに、余計なことしやがって!』
その自分勝手な言い分にサイトは苛立ちを覚える。
「あのな!お前らウルトラマンは地球やそれに酷似した世界じゃその姿を長く保てないんだろ?つまり俺というアパートの提供者で、お前は家賃を払いながら住まわせてもらってる住人。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ