盗賊-フーケ-part1/板挟み少年一人
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しそうに草をむしり取った。
すると、突如ズシンと重みのある地鳴りが響く。巨大な何かの気配。サイトたちはその気配を目で追うと、そこにはどこからか現れた、推定30メートルほどの土のゴーレムがこちらに向けて歩いてきていた。
「きゃああああ!!」
キュルケは悲鳴を上げて逃げ出す。タバサはすぐシルフィードを滑空させ、彼女を乗せる。後はルイズとサイトだけだが、自分たちとサイトたちの間に割って入る形でゴーレムが割り込んでいる。彼らの脱出の邪魔になっていた。
「く!」
不味いことに今のサイトは武器を持っていない。素手で戦うか?今ならゼロと同化している影響でなんとか行けるかもしれない。
『サイト、ルイズの奴一人で出やがったぞ!』
「え!?」
サイトはゼロから言われるや否やルイズを探す。すると、彼女は杖を構えサイトをかばうように彼の前に立ってゴーレムを対峙していたのだ。
「サイト、逃げなさい!」
「ルイズ何言ってんだ!」
「今のあんたは丸腰じゃない!そんな状態でゴーレムと戦うこともできないわ!」
「そう言うお前だってまともに攻撃魔法とか使えないだろ!!」
「う、うるさいわね!やってみなくちゃわからないじゃない!」
図星を突かれてルイズはぐ…と憤りをこらえたが、こちらを襲ってくるのではと考えているルイズたちの予想とは裏腹に、ゴーレムはルイズたちに目もくれていない。巨大な拳を振り上げ、ゴーレムはその拳を宝物庫の壁を殴りつけると、ルイズの魔法で入れられた亀裂がさらに広がり、絶対に破られないはずの宝物庫の壁が、ついに粉々に打ち砕かれたのである。
すると、ゴーレムの背中から、そしてむき出しの宝物庫の中へ飛び込む人影が見えた。フーケである。彼女は宝物庫の中にある、手持ちサイズの宝石をほんの少しローブの下にしまい、壁に掛けられた一つの1メイルほどの箱に目を付ける。珍しい鉄製の箱。それを開くと、とても魔法の杖には見えない鉄製の筒が入っていた。これが『破壊の杖』らしい。これは結構重かったが、運べないほどの重量ではない。彼女は破壊の杖を箱にしまいこむと、壁にいつものメッセージを残してから、ゴーレムに飛び乗る。
「感謝するよ!」
勝ち誇るようにフーケが地上のサイトたちに言い放つと、ゴーレムは彼女を乗せながら学院の外へズシンズシンと歩き去って行った。深追いするべきではない、タバサはそう判断して敢えてフーケを追わなかった。キュルケたちのことも心配なので地上に降りた。
サイトは、去って行ったゴーレムの方角を見る。
「あいつ、一体何を…?」
「宝物庫を破ってた」
タバサが一言だけ説明を入れた。宝物庫?その響きだけですぐに何をしたか読み取った。
「泥棒ってわけか、にしてもずいぶん派手な盗みっぷりだな…。ルハ○ンもびっくりかも」
宝物庫から出てき
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