盗賊-フーケ-part1/板挟み少年一人
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」
「いいわ。貴族に二言はないわよ」
なんとも馬鹿な決闘の形である。サイトのせいもあるが、この決闘は奇妙さの塊だった。勝手に話をトントン拍子に決められていく様に、完全に決闘の生贄にされたサイトは「馬鹿!鬼!」と二人に罵声を浴びせたが一切聞かれなかった。
「なあゼロ〜、同じ体を共有する男の危機だぜ。なんとかしてくれよ…」
同化しているゼロに助けを求めるサイトだが、ゼロは澄ました声でサイトに言う。
『あのな、こんな高さから落ちて死ぬわけねーだろ』
「それはお前が宇宙人だからだろ!俺たち地球人は死んじゃうの!!」
『俺と同化してるから肉体強化はされてるだろ。だったら今の体の頑丈さを知ることができてよかったじゃん?』
「この野郎…!!なんで俺はこんな奴と合体したんだろ…平賀才人一生の不覚…」
『な、なんだと!!!?』
以前サイトに言ってやったセリフを返されたゼロは納得しかねる様子で声を荒げた。と、その時にはすでにルイズの杖に光が灯っていた。
「サイト、避けるんじゃないわよ!いいわね!」
「え、あ、ちょっと…うおおおおお!!?」
サイトの断りを入れる間も与えず、ルイズは火球を出す魔法『ファイヤーボール』を出す。…が、やはりただの爆発。それもサイトのすぐ後ろの壁付近で爆発が起こる。まるで自分の至近距離でダイナマイトをぶっ放されたような感覚に、サイトは恐怖する。
「こ、殺す気かルイズ!!」
「あはは!さすがゼロのルイズね。壁に爆発を当てるなんて」
しかしルイズはサイトの心配をしていない。せめて爆風でロープが切れてくれたらと思っていたが、残念ながらそうはならなかたようだ。悔しくて顔が自然と歪む。
だが、このときフーケにとって思いもよらないことが起こる。なんと、たいていの魔法でも物理攻撃でも破れないであろう宝物庫の壁に、根深いヒビが入ったのだ。
(な…壁が!?)
正直落ちこぼれ扱いされているルイズの魔法だから、ルイズ曰くちょっとした失敗で教室一つを吹っ飛ばす威力はあっても、宝物庫の壁にヒビを入れるなんて自体が起きるわけないとなめきっていた。信じられないものを目にしたが、これはこれでチャンスだ。ヒビさえ入っていれば、あとは自分一人でもどうにかできそうだ。
すると、ルイズとキュルケの闘いは、今度はキュルケのターンに回っていた。彼女は日のトライアングルメイジ。ファイヤーボールなどお茶の子さいさい。すぐに詠唱を終えて火球を放つと、あっさりとサイトのロープに当たり、焼き切れたことによってサイトが落ちてきた。
「んぶおおおおお!!?」
悲鳴を上げて落ちていくが、タバサがあらかじめ詠唱していたレビテーションのおかげでたいした怪我はなく、ロープもすぐに解いてもらった。結局ルイズの負けが確定し、彼女は勝利を喜ぶキュルケとは裏腹に、悔
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