第二章
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けな顔してるわね」
(間抜け・・・・・・)
さっきとは全く別の感情を抱いた。彼女達の口さがない言葉に真美子は不愉快なものを感じた。
そしてそれは女学生達には向けられなかった。言われているコロに向けられたのである。
「だっさいわよね」
「そうよね。不細工だし鈍そうだし」
「人間だったら何か付き合いたくないよね」
「そうよね。あんな鈍そうだと」
そんなことを言いながら去って行った。真美子はその後でコロを不機嫌そのものの顔で見下ろして言った。
「コロ」
コロは何もわからない。ただ真美子を見上げるばかりである。
「あんなこと言われて。本当に貴方は駄目ね」
悪いことを言われているのはわかる。するとシュンとしょげかえった。
「全く。ノロマだし不細工だし。何もいいところがないのね」
そう言いながらコロを見下ろす。
「少しはソーニャを見習いなさい。そんなのだから駄目なのよ」
ソーニャは特にコロを見たりはしていない。意に関せずといったところだった。
だが真美子は違っていた。とにかくコロが言われたことをそのまま自分のものとして受け止めていたのだ。だからコロが許せなかったのだ。
「一樹が気に入ってるからいいけど。しっかりしなさい」
しょげかえって座ったまま聞いている。如何にも申し訳なさそうだ。
だが結局コロはコロなのだ。不細工で動きも遅い。それがわかっているから真美子は余計にイライラしていたのだ。どうしようもないことこそそうしたイライラが募るものなのだ。
情けなくなる。自分のことではないのに。それでもコロは変わりはしない。鈍く、小さく、そして不細工なままだ。いい加減嫌にさえなる。
だがそれでもこの犬を邪険にするわけにはいかなかった。一樹が気に入っているし、その一樹の教育の為だ。ここは我慢するしかなかった。
一樹は相変わらずコロを可愛がっている。ソーニャに対するそれとは態度が全然違っていた。そう、まるで友人の様であった。それに気付いた真美子はまた一樹に尋ねた。今度はコロの小屋の前だった。そこで話をした。コロは一樹の足元でゆっくりと寝ていた。のどかなものだった。
「コロといつも一緒にいるわね」
同じ質問だった。
「だって凄く優しい犬だもの」
「そうなの」
やはり返事も同じようなものだった。真美子は心の中で溜息をついた。こんな犬の何処がいいのかと。
「お母さんはわからないの?コロのよさが」
「それは」
「僕、わかってるんだ」
一樹は顔を暗くさせた。目も母親である真美子を咎める目であった。
「お母さん、コロ嫌いでしょう?」
「・・・・・・・・・」
反論出来なかった。その通りだったからだ。はじめて息子に対して何も言えなくなった。
「いつもソーニャばかり見てるからわかるんだ。コロのことち
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