第二章
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感情を表に出さずに応えた。
「コロって可愛いでしょ」
「まあね」
実はとてもそうは思えない。不細工な顔だと今でも思っている。
「それにね。優しいんだよ」
「優しい!?」
「そうだよ。だって散歩してる時ね」
「ええ」
「お花を見たら立ち止まってじっと見ているんだよ。虫とかは絶対に虐めないし」
「そうなの」
ソーニャも虫を虐めたりはしないがこれはそもそもソーニャが非常にできた犬だからである。これは驚かなかった。
しかし花を好きな犬というのは。かなり意外だった。
「道に咲いているお花見たらいつもじっと見ているんだ。お母さんも見てみるといいよ」
「ええ、わかったわ」
軽い返事だった。だがどうにも信じられない。しかし一樹がコロを好きなのはわかった。どうやら自分とは好みが違うようだと思っただけだったが。
「ねえコロ」
真美子はその話の後でコロに餌をやりに言った。餌自体はソーニャと同じものだがコロは身体が小さいのでその量はあまり多くはない。
「貴方、お花が好きなのね」
だがそれには応えはしない。餌を見て目を輝かせているだけである。
「それと餌かしら」
やはりそれを思うとつまらない犬に思える。
餌を食べているコロはガツガツしていてあまり品がないように思えた。それに対してソーニャは上品に食べる。やはりソーニャと比べて見てしまう。そして駄目な犬だと思った。
「後で散歩行く?」
それを聞くとソーニャは耳をピンと立てるものだがコロにはそれはない。ただ餌をガツガツと食べるだけであった。
「まあいいわ。行くわよ」
それに構わずにこう言った。餌を食べ終わったのを見てソーニャと一緒に散歩に連れて行くのであった。
散歩に連れて行くとやはり遅い。大きさの関係もあるがソーニャがスタスタと歩くのに対してコロのそれはトコトコといった感じである。それにあちこちで用をたす。その度に立ち止まってしまう。
「またなの?」
また用をたすコロに呆れてしまった。今は電柱に用をたしている。
その前は橋に。しょっちゅう用をたしているのだ。
「本当に。歩くのは遅いし」
やはりコロが嫌になる。ソーニャと比べて劣っているようにしか見えない。
「一樹も。こんな犬の何処がいいのかしら」
「あ、ほら見て」
そこへ女学生達が通る。
「シベリアン=ハスキーよ」
「何か格好いいわよね」
ソーニャのことだとすぐにわかった。それを聞いて思わず心の中で勝ち誇る。
「すっごく賢そうだし」
「目の色も左右で違うし。綺麗よね」
女学生達の声が心地よい。それが彼女にとって何よりの誇りだった。
だがコロに対しては。そうではなかった。
「あれ、あの犬」
女学生達もコロに気付いた。
「何か情けない顔してるわよね」
「そうね。間抜
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