第一章
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第一章
荒野のメガロポリス
僕達が今暮らしているこの街。所謂メガロポリスだ。
アメリカの繁栄の象徴であるこの街には何でもある。ないものを探す方が難しい。
車もあればテレビもある。娯楽も何だってある。
ちょっと探せばきついやつなら仕事だってある。それも結構ワリのいい仕事がだ。
「不況だっていうけれどな」
「そうだよな。探せばな」
「仕事はあるんだな」
「ヨーロッパよりずっとましだろ」
とりあえずEUの方が洒落にならないってことは聞いている。何故かニューズウィークやフォーブスはそのことが楽しくて仕方がないらしい。いつもそのことを喜んで書いている。
雑誌のことを思い出しながらだ。僕達はこの日も働いていた。清掃業だ。
「今日はこっちを掃除して」
「明日は向こうのゴミ捨て」
「ゴミは減らないよ」
「全くだね」
こんな話をしてだ。僕達は街中を動き回って朝から働いている。お金を手に入れてそれで派手に遊ぶ。食事はハンバーガーにホットドッグ、それとコーラだ。
そんなアメリカンな生活を楽しんでいる。しかしだ。
ふとだ。僕はこんなことを思った。
「あのさ」
「んっ?」
「どうしたんだ?」
「いやさ。この街を出るとだよ」
僕は言うのだった。今僕達は仕事の休憩時間だ。作業服のまま道で車を停めてその横に出てだ。コーラやアイスクリームを楽しみながら話している。その時に言ったのである。
「どんな感じかな」
「ああ、そういえばな」
「俺達ってこの街出たことないよな」
「っていうかな」
ここで皆気付いたのだった。あることにだ。
「このメガロポリスから外ってな」
「出たことないよな」
「何だってあるしな」
「ないものないしな」
あるものを挙げていくとだ。きりがない。しかしだ。
その外のことはだ。僕達は知らなかった。どんな世界なのかをだ。
それでだ。僕は言うのだった。
「別にシカゴとかシアトルとか行くんじゃないし」
「とりあえず外か」
「外に出てみるっていうんだな」
「このメガロポリスから」
「ああ、そうしてみない?」
また皆に話した。
「今度の休みにでも」
「面白いな、それ」
「だよな」
「一度もここから出たことないしな」
「それもちょっと出るだけだよな」
皆僕にこう言ってきた。
「別に外国とか遠くに行くわけじゃなくて」
「街を出るだけ」
「そうするんだな」
「うん、そうだよ」
笑顔で話す僕だった。今僕達のいる場所は高層ビル群だ。その中で休んでいるのだ。空まで届きそうなガラスとコンクリートのビルがだ。何処までも連なっている。
他には煙があちこちから出ていつも誰かが中にいる工場地帯に船で溢れ返っている港に一旦入る
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