第七章
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は」
「浜崎といいます」
「やっぱり・・・・・・!」
ワンダはその名前を聞いてはっと声をあげた。予想した通りだったのだ。
「そうだったんですか。あの人が」
「あの人っていいますと」
「その人に教えてもらったんですよ、このうどんを」
そのことを娘に対して言うのだった。
「実は」
「そうだったんですか」
「はい、本当に奇遇です」
満面の笑顔になっていた。その笑顔で語っていた。
「まさか。こんなところで」
「そうですか。叔父が」
「叔父さんは今でもここにおられますよ」
「はい、知っています」
にこりと笑ってワンダの言葉に頷いてみせた。
「ここに来たのは会いに来たのも理由ですし」
「そうだったんですか」
「奇遇ですね」
娘の顔が穏やかな微笑みになった。まるで女神の像の様な。
「こんなところで御会いできるなんて」
「そもそも私達がうどんに出会ってこうして作っていることこそが」
「うどんに出会ったことも」
「ええ、そうですよ」
アレンも出て来た。そのうえで娘に話すのだった。
「本当に。世の中何があるのかわかりません」
「そうですね。それは」
「それでですね」
アレンはさらに言うのだった。
「今度はですね」
「今度は?」
「叔父さんと御二人で来て下さい」
こう声をかけるのだった。
「是非共御二人で」
「今度は御馳走しますよ」
またワンダも言ってきた。
「きし麺を」
「きし麺もあるんですか」
「ニュージーランドのきし麺ですけれど」
そこはにこりと笑って前置きされた。
「そうですよ」
「では。是非二人で」
娘もまたにこりと笑って二人に応えるのだった。
「お邪魔させてもらいます」
「それで最後に御聞きしたいのですが」
アレンが娘に尋ねてきた。
「はい?」
「貴女の御名前は」
聞くのはそのことだった。
「宜しければ教えて頂けませんか」
「今後の為にも」
ワンダもそれを尋ねる。
「宜しければ」
「凛子です」
娘はこう名乗ってきた。
「私の名前は。浜崎凛子です」
「凛子さんですね」
「はい」
アレンの言葉に頷く。
「そうです」
「わかりました。じゃあ凛子さん」
アレンはその凛子に対して言ってきた。
「今度は御二人でニュージーランドのきし麺を」
「楽しみにしています」
もう凛子のうどんは奇麗になくなっていた。麺も天麩羅も見事になくなっていた。ニュージーランドのうどんもまた美味いということだった。そして今度はニュージーランドのきし麺に期待を寄せるのであった。次の御馳走に向けて。奇遇が重なってできていったうどんを。
うどん 完
2008・5・31
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