第二章 曇天の霹靂
9.離別
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そんなことを思ってたんだけど。
キリュウさんには付かず離れず、適度な距離感をもってあたしたちを見守ってくれた。
任せられるところはあたしたちに任せてくれる。
初心者だったあたしたちにも戦闘の役割を与えられて、それを無我夢中でこなしていくうちに段々と自信みたいなのが付いてきて。
今ではすっかり冒険者が板についてきたと思う。
キリュウさんに助けられているのは変わりないけど、それでもあたしたちがキリュウさんの危機に助けに入ったことも何度もあった。
キリュウさんには悪いけど、それはあたしの自信になっていた。
あたしたちだって――あたしだって、彼の力になれる。助けることが出来てる。
それが凄く嬉しくて。
キリュウさんの傍に居られる資格を手に入れたような気がして。
――これってあたしの思い込みかな?
そうなのかもと思うことはあるけど、やっぱり違うと思いたい。
キリュウさんだって、あたしたちをちゃんと頼ってくれてるし、あたしたちも受け身じゃなくて積極的に意見だって言えてる。
第一層の頃とは違う。
あたしは、キリュウさんの正式な《仲間》に、なれたんだ。
「――――――ぁぁ」
そう、思ってたのに……。
三十五層迷宮区の三階から四階へと続く階段を上りきった所。
そこから数十メートル前方の開けた場所。
迷宮区内なのに空が見えた。
暗い、雲が覆った夜空だ。ゴロゴロと遠くから雷が鳴ってるのが聞こえてくる。
三十五層迷宮区は抜けがあるジェンガみたいな構造になっている。階によっては天井がなくて空も見える。実際に見たのは初めてだけど。
そんな曇り空の下。
見慣れた人影と、輝く幾本もの軌跡が見えた。
「…………」
人影はキリュウさんだった。
迷宮区の強力なモンスターたちと戦っている。
一人で。当然、その傍にあたしたちは居ない。
――どうして? どうして一人で戦っているんですか?
こんな深夜に。たった一人迷宮区に潜って。
あたしたちに内緒で。
――それに。
あの光の軌跡は《ソードスキル》だ。
違和感が強くて使わない、使うことはないだろうと言っていたのに。
練習していた? でも、それをあたしたちに内緒にする理由が解らない。
使えるようになってあたしたちに対するサプライズにするため? いや、キリュウさんがそういうことをする性格には思えない。
どうして。どうして。どうして。
――あたしたちは、キリュウさんの……《仲間》……。
「………………なんで」
「!」
モンスターを倒し終わったキリュウ
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