第二章 曇天の霹靂
9.離別
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を守れる力を手に入れるためなら、睡眠が一時間だとて問題は無い!
「噴……!」
そうしてレベリングを続けていたある日の深夜、敵PTの最後の一匹を倒したと同時。
【※条件達成】
【スキルを取得しました】
と、目の前にシステムメッセージが表示された。
「……?」
突如、俺のもとに顕れたスキル。
それを確認していくうちに、俺は目を見開いた。
――これは……!
それは俺の中で一番の弱点――――《ソードスキルを苦手とする》ことに対しての光明に思えた。
それからというもの、俺はレベリングと同時に、そのスキルの練習を始めた。
最初は思った通りに発動することが困難だったが、それでもソードスキルに感じる違和感ほどではない。数日練習すればある程度思い通りに発動することができた。
「ハアアアアア!!」
《穂先に纏う光》が、幾度となく虚空に軌跡を作り、敵の体を穿つ。
消えゆくモンスターをに残心を解く。
――今のは良かった。
しっかりとこのスキルは機能している。
俺に足りなかったものを補ってくれている。
――俺は、強くなっている。
不安材料が一つ消えて、俺は自然と笑みを浮かべていた。
彼女たちを守れる自信を、ひとつ手に入れたからだ。
その時だった。
「………………なんで」
「!」
この場所で。
最前線である三十五層の迷宮区で。
0時を超えたくらいの深夜に。
聞こえるはずのない声が、聞こえた。
「――なんでですか? ……キリュウさんッ」
守りたいと思っている者の、悲痛な声だった。
◆
一目見た時から、この人は他の人とは違うって思ってた。
はじまりの街で最初に感じた印象は《神秘的な人》だった。
阿鼻叫喚の中をただ一人悠然と歩く様は、どこか神聖な何かを感じた。
でも、実際に話してみると、外見の印象とはまったく性格が違うということが解った。
すごく、すごく――――《純粋》だった。
思考は常に冷静にして論理的。視点はいつも客観的。
なのに、誰よりも優しい。誰よりも他人のことを気にかけている。
どうしたら全員にとって一番良いのか。
それをずっと考えているように見える。
だから、常に難しい表情をしているんだ。
そんな――答えの出ない難しい問題を考えているから。
あたしはそう思っている。
そんなキリュウさんに、戦いなんてまったくの素人のあたしたちが一緒にSAOを攻略していくなんて、実は最初けっこう気後れしていた。
大丈夫かな? 足手纏いと思われないかな? 呆れられないかな?
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ