SAO編
第二章 曇天の霹靂
8.すれ違う想い
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「……レイア」
「なに?」
「キリュウさん、何処にいる? マップで確認出来るよね……?」
「え……」
一瞬、あたしの言っていることが解らないといった表情をしたレイアだったけど、あたしの雰囲気に気付いてすぐに主街区のマップを表示した。
「――居ない?」
「うそ……宿じゃなくて街自体に居ないなんて……!?」
「ど、ど、どどど何処に行ったんスかっ」
果たして、今居る三十五層主街区には、あたしたち三人の光点が在るだけだった。
あたしは焦りながらマップを色々と切り替えてみる。
一層主街区《はじまりの街》――居ない
三十五層主街区の周りのフィールド――居ないっ。
次のエリア――居ない!
「どこ? どこに居るの!?」
この時のあたしたちは、焦りすぎてキリュウさんにメッセージを飛ばせばいいということにさえ気付いていなかった。
レイアやチマと手分けをして各所のマップを確認した。
《迷いの森》――居ない!
確認した後で思う。こんな時間にモンスターの出るフィールドに居るわけない。一人でそんなところに行くわけがない。
出掛けるとしても別の街だろう。
それに、もしも行くことがあったとしても、あたしたちに何も言わないなんてありえない。
――だって、あたしたちはパーティー……《仲間》なんだもん。
戦いに行くのなら、絶対に声はかけてくれるはず。
だから。
此処を見るのもただの確認作業。
居ないことが解っていても、確信を持つためだけの行為。
――――――なのに。
「なんで」
キリュウさんの位置を示すマーカーがあったのは、三十五層《迷宮区》。
今現在もっとも危険な最前線だった。
「どう、して……?」
唇が、声が震える。
心臓が誰かに鷲掴みに遭ったように身が竦む。
「迷宮区? 此処にキリュウさんが?」
「な、なにか事情があるんじゃないッスか? 一人で黙って行くくらいッスし……」
「…………事情?」
チマの言葉にハッとする。
――事情、そう事情! きっと私たちに言えない事情があるに違いないよ!
じゃなければ、そうじゃなければキリュウさんがあたしたちに無断で迷宮区に一人で行っちゃうなんてあるわけがない。
「行こう。キリュウさんを迎えに行こう!」
装備を確認し、あたしは二人の返事を聞きもせずに宿を飛び出した。
キリュウさんの止むに止まれぬ事情。それを知るために。
あたしたちとキリュウさんは《仲間》なんだ。
アインクラッド第一層からずっと頼りっぱなしだったけど、ようやく役に立てるようになってきたと思う。
いくつもの修羅場を一緒に潜り抜けてきたし、その中には確かにあたしたちの
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