SAO編
第二章 曇天の霹靂
8.すれ違う想い
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頭を占めるのはあの人の顔。
ずっと、ずーっと前から見てきたキリュウさんの端正な顔だった。
――だからこそ、解る。
依然と比べて、彼に何か変化があったということが。
「ネリーも、そう思う?」
「ほほ? やっぱりふたりも感じてたッスか」
暗い天井を見つめながらボソッと呟いた独り言に、川の字に並んだ両端のベッドから声が上がった。
「キリュウさんさ……最近ずっとなんていうか、切羽詰ってるっていうか――」
「余裕がない?」
「そうそう。――此処一か月ぐらいかな、ずっと張り詰めてるみたいな気がするんだよね」
「わたしも思ったッス。以前にも増して表情が硬いんスよね」
「うん。――だから今日ね、キリュウさんが提案してきた《迷いの森》の槍を手に入れれば少しは喜んでくれるかなーと思ってたんだけど……」
「……あまり喜んでいるようには見えなかったね」
それは槍を手に入れたことを嬉しがっていない、というわけではないと思うが、何故かあの時は、キリュウさんの感情を読み取ることが出来なかった。
常に無表情を崩さないヒトだけど、半年以上もの付き合いでそれでもある程度の感情は読み取れていると思っていた。それだけに、あの時のキリュウさんはよくわからない。
レイアの言葉が妙にしっくりとくる。
『余裕がない』
なんで? どうして?
この推測が当たっているんだったら、彼はどうして余裕がないんだろうか?
あたしは、今のあたしたちの状態を振り返ってみる。
――SAOの攻略は順調……だよね。たぶん。
八日〜二週間以内には階層を攻略しているし、ボス戦にだって何度も参加してる。
ギルドを組む攻略組も増えてきていて、そろそろ《アインクラッド解放軍》に変わるリーダー的存在が現れそうな気がする。
――あたしたちの強さが問題?
最近は少しレベリングの時間が増えた。うん、増えた。
そのうえ、なんというか密度が濃くなった感じ。
前は至らない部分だけをキリュウさんが指摘してくれて、それなりに自由に戦ってきた印象だけど、今は絶えず細かく指示が飛んでくる。
キリュウさんの指示は正確、かつ効果的なので従うのに否は無いんだけど、すっごくタイトなんだよね〜。
全部がギリギリの要求っていうか、あたしたちの出来ることを全部解ってなきゃ出来ないような指示が来る。
それがハマればもうすっごい。敵に反撃の隙さえ与えない。
だけど失敗するとこっちに大きな隙が出来てしまう。
ハイリスク・ハイリターン……って、まあ安全マージンは十分とってるんだけどね。
――だけど、ちゃんと強くなってると思う。
ううん。強くなってるよ。
ソードスキルだって、もういくつも覚えた。
レ
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