暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第二章  曇天の霹靂
8.すれ違う想い
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ような……』

 うろ覚えだったのだが他に宛てもなく、俺はそれに縋ることにした。
 そして第一層に戻り、ドマールの武器屋で店主に以前聞いた話について確認したところ、三十五層主街区のとある民家を訪ねてみろと言われた。向かった先の民家で待っていたのは、クエストを示す金色のクエッションマークを頭上に光らせた老婆のNPCだった。

「――迷いの森の最も深き場所には、魔猿共を統べる森の主が住んでおるのよ。彼の猿人はとても欲深で、自分が持っていない物で他者が持っておる物は必ず欲しがり……奪い取ろうとするのじゃ。数多の猛者たちが奴の犠牲となり、今や主はその者たちの武器防具を纏ってすらいるという。そこまでしても、なおその欲望は収まらないらしい。先月もわしの息子を含め五人の者が襲われてしもうた。――嗚呼。誰か、あの凶暴な主を倒してくれる者は居ぬものか……」

 此処で俺たちは、討伐クエスト【迷いの森の主】を受諾した。
 より詳しく話を聞くと、どうやら森の主が欲しがる物というのは月毎に変わるらしい。
 被害者の関係者を主街区で探し、五人の持ち物から共通する品を見つけた。

 装飾品である《足輪》だ。

 被害者全員が、とある露天商で売っている足輪をしていたことが判明した。
 俺たちは万全に準備をしたあと、件の露天商から足輪を買って装備し、迷いの森へと向かった。
 エリアを跨ぐこと数度。ドランクエイプという猿人型モンスター十匹の奇襲を二度凌いだ後、全身が長く白い毛で覆われた巨大な槍を持つ巨大狒々が現れた。

 その名《シルヴァナラ・バブーン》。

 定冠詞付きではないが、恐らくフィールドボスに属するモンスターだろう。
 四匹のドランクエイプを従えた白狒々は、大咆哮と共に俺たちに襲い掛かってきて――――

「ガ、ギャガ……ギャギャ、ガアアアアアアァァ…………!!」

 激しい戦いの末、喉元に槍の穂先を突き刺された森の主は、大輪の花火のように弾けて光に消えていった。
 視界の端に取得経験値とドロップアイテムが表示される。
 ラストアタックのボーナスか、俺の欲していた物もしっかりとストレージ内に入れられていた。

 カテゴリ《ロングスピア/トゥーハンド》、固有名《マイトシーカー》。

 取り出してみると、それは槍というより矛に近い。返しが四つ付いた若干幅広の両刃の穂先に、2.5m程の緑に染められた木製柄、それに極彩色の装飾が程よく付けられていた。

「やりましたねっ、キリュウさん!」
「おー、それが噂の槍ッスか〜」
「おめでとうございます。ドロップという話だったので、誰も取れてなかったらもう一度クエストを受け直すかもと思ってましたけど……取れて良かったです」
「……ああ。有難う……」

 三人に礼を言いつつ、槍の
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