装備企画課
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彼のゴールデンバウムによって民主制度が潰されて、数百年。
フェザーン自治領が出来たのが今からおよそ百年前。
そこからは帝国と同盟と言った二大強国に対する歪な商売が始まっている。
元々の営業ノウハウが帝国主義によって消された状態で、それでも中立として存続できたのはさすがであろう。だが、そこに細かな技能や技術の応酬は存在していない。
二大強国の強い命令に対して、表向きは従いながらも、その実を取る。
生き馬の目を抜くと言われる所以である。
今回も表向きは改善について協力姿勢を見せながらも、しっかりと料金を請求してきた。
まだ若く慣れていない男であった。それに対して怒りを見せて、カプチェランカの全責任はそちらにあると脅し、契約書の一文を提示する。
それだけでその上司と名乗る営業課長が飛んできた。
本来は海千山千のベテランであったのだろう。
だが、前回の失態を解決することに注視しており、本来の目的については片手落ちだ。
結局は今日も結論を出さずに、肩を落として帰る事になった。
おそらくは次には営業部長辺りが来るのだろう。
そうして、この契約書に書かれた『双方が予期せぬ事柄については、責任の所在について双方を持って話し合う事とする』の部分について主張して来る。
知らぬ存ぜぬというわけだ。
ま、そうはさせないけれどね。
分厚いファイルを目にすれば、ゆっくりと背を伸ばした。
前線での指揮やシミュレータでの指揮に比べていれば、遥かに慣れている戦場。
こちらは正しいのに、企業の格によって悔し涙を流したこともある。
その中でいかに実益をとるか――言わば敵のやり方は前世でアレスが経験した事だ。
誰よりもよく知っている。
唇をゆっくりとあげれば、書類を手にして立ち上がった。
今は四時を過ぎた頃。
報告にはまだ間に合うだろう――会議室を出れば、アレスは笑みを浮かべた表情のままにゆっくりと歩きだした。
+ + +
「ふむ。相手の意向はわかった――それに対する答えはあるのかね」
「ええ。導入前の第四回目の議事録を見てください」
「いま目が離せないんだ。読んでくれると助かる」
「では――『同盟側:この脳波認証を取り入れるにあたりの、メリットは。アース社:脳波認証によって固有認証が可能となるため、例え敵に鹵獲されたとしても使用されることはない。同盟側:では、敵に鹵獲された場合は敵が使えることはないのか?』E3がポーンでチェックメイトです」
「ん。あ、ん、いや、ちょっと待ってくれ」
「待ちません。で、その回答ですが『アース社:脳波認証はアース社の最高の技術をつぎ込んだものであり、問題が起こりうる可能性はありません』と」
そこで初めて、正面
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