暁 〜小説投稿サイト〜
うどん
第三章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話

 それをまた言う。完全に取り憑かれている。
「だからだよ。知りたいよ」
「じゃあ決まりね。食べ終わったら」
「本屋にね。それでこの麺についても調べようよ」
「わかったわ。それじゃあね」
「うん」
 こうして二人はうどんに関する本を買うことにした。それも何冊も買いそれで調べてみた。その結果二人にとって実に面白いことがわかったのだった。
「面白いわね」
「そうだね」
 滞在しているホテルに戻って最初のやり取りはこれであった。
「海草でだしを摂っていたのね」
「それと・・・・・・鰹節?」
「鰹を燻製にしたものらしいわ」
 ワンダは本のうちの一冊を読みながら夫に説明する。
「和食ではよく使うらしいわ」
「ふうん、それを細かく切ってそれからなんだ」
「手間がかかってるわね」
「そうだね。それに」
 アレンもまた本を読んでいる。その中でまた言うのである。
「見てよ、干した魚までだしに使ってるよ」
「想像以上に変わってるわね」
「変わっているっていうか信じられないよ」
 ニュージーランド人の彼から見ればこう言うしかないものであった。彼にしろ妻のワンダにしろ今までこうした和食は食べたことがない。だからこれも当然だった。
「それに麺だってね」
「面白い作り方ね」
「パスタとは全然違うね」
「練ってそれから粉をまぶした上で包丁で切っていくらしいわね」
「何処か中国のそれに似ているね」
「ええ」
 実は二人は中華料理は食べたことがあるが和食は殆どないのだ。それでこうした和食にとっては基本的な話も全く知らなかったのである。
「麺に関してはそうね」
「それでも。とにかく独特だよ」
「けれど美味しいのは確かね」
「うん」
 妻の言葉にまた頷いてみせる。そのうえでまた言うのだった。
「ところでさ」
「どうしたの?」
「これ、日本でしか食べられないのかな」
 彼はそのことを心配していたのだ。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ