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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第396話】
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かも後から成樹に聞けば、成樹が執事となってIS学園の子と一緒に働いていたというのだからがっくり肩を落として、成樹に慰められてしまったのだから更に落ち込んでしまった。

 声も出さず、しくしく泣く二人をただただ困ったように見つめる成樹は、頬を指で掻くだけだった。

 一方、別の場所では――。


「カァーッ! このアリーナ広すぎだろ! 母さんから貰った座席、何処だかわかんねぇよ!」


 そんな呟きも、観客の喧騒に消えていく。

 陽人は関係者では無いため、観客席から自身の子供達の応援と共に、先日イレイズドで見た襲撃者の顔を見て、一層警戒心を強めていた。

 あの顔は織斑千冬に似ていた――無論、世の中には自分に似た人間は沢山居る。

 だが、似すぎていると疑念に思うのは職業柄か、はたまた慎重な性格故の思いか。

 日本では拳銃の所持は出来ないため、PPSのみ、何時でも起動可能状態にはしている。

 勿論、使わないに越した事は無いのだが――。


「……ったく、とりあえず席を見つけねぇと落ち着いてホットドッグも食えねぇぜ」


 そう言いながら最後の一口を頬張り、ゴミが散らかったゴミ箱に包み紙を入れ、ついでに散らかったゴミも纏めて入れると改めて観客席を移動し、自分の席を探し始めた。

 場所は戻って成樹達の居る観客席。

 レースの準備が出来たのか、コースには空中に敷かれた光のラインが、綺麗にアリーナをぐるりと一周回っていた。

 どうやら前回同様のオーバルコース形式なのだろうと成樹は思う。

 勿論、オーバルコースだから簡単という訳にはいかない。

 バトルレース故の駆け引きとコースのシンプルさで、色々深い魅力を引きだしているのだろう。


「いよいよ始まるね、年に一度の……市の特別イベント、キャノンボール・ファストが」


 そんな成樹の言葉が合図となったのか、ピットから勢いよく加速して飛び出すラファール・リヴァイヴ。

 それに呼応して巻き上がる歓声と拍手の波……。

 上空にはテレビ局の所有するヘリが飛び交い、空気を切り裂くローターの刃も、観客の歓声にかき消されて全く聞こえなかった。

 スタート位置につく、IS学園二年生――その表情は真剣そのもので、中には緊張して表情の強張った者までいた。

 シグナルが点灯すると同時に、歓声はピタッと止まる。

 さっきまでの喧騒が嘘のように静まり返り、まるで今この瞬間だけが時が止まったかのような錯覚に襲われた。

 二つ目のシグナルが点灯――息を飲む観客、注視する視線、まだ始まらないのかと思う一秒一秒が、今までの人生の中で一番長く感じる一瞬だった。

 そして――シグナルが緑色に点灯、それと同時に先ほどと
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