第六十六話
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あの殺人ギルドのリーダー、PoH。予想だにしていなかったその登場に、俺の身体が硬直して動かなくなってしまう。脳裏にはSAOでの出来事……かつて共にあの世界で生きていたギルド、《COLORS》のみんなや、少なくない犠牲を出した《笑う棺桶攻略戦》がフラッシュバックする。
「PoHって……!」
背後でリズの息を呑む音が聞こえてくる。直接《笑う棺桶》に関わることはなくとも、あの世界にいた者ならば知らない者はいない筈だ。当然、彼女もPoHのことは知っているらしく、メイスを固く手に握って一歩後退した。
「再開を祝したいところだが、そういう訳にもいかないか?」
目の前にいる当のPoH本人は、飄々としながら大げさにポーズを取っており、その手にはかつてのように包丁のような武器が握られていた。まさかあの《肉切包丁〈メイト・チョッパー〉》ではないだろうが、その外観は幾人ものプレイヤーを殺してきた、あの包丁にそっくりだった。
「anyway.せっかくの再開――」
「う、あぁぁぁぁっ!」
マシンガンのように言葉をまくしたてるPoHの台詞を遮るように、気合いか恐怖か分からないような雄叫びをあげ、俺はPoHに向かって切りかかった。《縮地》も使うことなく、真っ正面から走っていきながら鞘に入っていた《銀ノ月》を抜き、PoHに対して横一文字に薙払った。
そう聞けば聞こえは良いだろうが、やったことと言えばただの無意味で無防備な突撃。切りかかってから頭が冷静な思考を取り戻すが、もはや後の祭り。痛烈なカウンターを覚悟するが、予想に反してその横一文字の斬撃をPoHが避けることはなく、俺がカウンターを受けることはなかった。
「なっ……!?」
……代わりに、確かにPoHの身体を横薙にした筈の《銀ノ月》には、何の手応えもなく――PoHの身体を、すり抜けていた。盛大に空振りをしてしまった俺の身体は、疑問の声とともに大きくよろけてしまったが、急いでPoHの包丁の射程距離外ギリギリまで後退する。
「what's the matter? 俺の身体はココだぜ?」
そう言いながら、PoHは自分の胸を叩いてみせる。そこに自らがいるのだと証明するように、俺を挑発するように。そして、そのまま武器も構えずに俺の方へ向かって来るPoHに対し、俺は《銀ノ月》の柄を両手で持ち直すと、唐竹割りを炸裂させる。
しかし先程の横薙の際と結果が変わることはなく、PoHの身体に当たれども斬った感触を感じることはない。事実、PoHを見てもダメージはない以上、何らかの手段で当たっていないと考える方が正しいだろう。
ならば、最初にPoHが使っていると仮定して思い浮かんだ手段は《幻惑魔法》――スプリガンが得意とする魔法のことだった。PoHの格好はアイン
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