第六十六話
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んなことは関係なく。自分も彼女のように、『友達が困ってるから』という、ただそれだけの理由でここにいるのだ。
――面倒くさい迷いは断ち切れ。今の俺に必要なのは、迷いではなく『覚悟』だ。そして、迷いを断ち切ることが出来る物は、彼女が作り出してくれたこの刃がある――
俺たちが近づいた時が黒い煙の適応時間だったのか、その暗闇となっていた空間が雲散霧消していく。リズの手を離して黒い煙があった空間に飛び込むと、中で戦っていたと思われるレコンの前に立って、奴が振るっていた包丁を日本刀《銀ノ月》を鞘から抜刀して受け止める。
「レコン、立てる?」
「なんとか……」
その隙にリズが、腰を抜かしていたレコンの手を掴んで立ち上がらせる。なんとか、とは言ったもののレコンは大したダメージは受けていないようで、俺はそっと胸をなで下ろす。……その気持ちもすぐに切り替えて、包丁を受け止められたことに対して、ニヤリと笑っている奴のことを睨みつける。
奴は一瞬俺と視線を交差させた後、距離を取るべくバックステップをすると、大げさに腕を広げて演説のように語り出した。
「おいおい銀ノ――ッ!?」
そのままいつも通りの台詞回しが始まるより早く、奴の身体に漆黒のクナイが突き刺さった。……しかし身体とは言っても、PoHの形をした身体のことではなく、何もない中空にクナイは刺さっていたが。
「……本物なら避けてたな、今の攻撃ぐらい」
「なに……!?」
先程俺は奴のことを《亡霊》だと思った。あの浮遊城の亡霊だと。……ならば人に仇なす亡霊は、生者が退治するのがこの世の決まりというものだろう。……こんなことを考えられる余裕と、《覚悟》は完了した。
「こんなのはナイスな展開じゃない。だから、もう終わらせてやる……!」
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