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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十八話 新秩序
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易の中心でいられた筈です。政治的な影響力も多少は維持出来たかもしれない」
「かもしれない。だが難しいだろうな、お前さんがそれを許すはずもない、違うか?」
「そうですね。それに平和が続けばフェザーンの影響力は減少します。いずれは無力な交易都市になったでしょう」
どういう意味だ? 説明を求めるとヴァレンシュタインは“喉が渇きました”と水を求めた。俺も喉が渇いていた。スールズカリッター少佐に水を用意させた。
水を飲むとヴァレンシュタインが話し始めた。
「人口の問題です」
「人口?」
俺が問い掛けるとヴァレンシュタインは頷いた。
「フェザーンには居住可能惑星は一つしか有りません。フェザーンが抱えられる人口は精々百億が限度でしょう」
「そうだろうな。今フェザーンの人口は二十億程度だから後八十億は余裕が有る。何が問題なんだ?」
ヴァレンシュタインがちょっと困ったような表情をした。いかんな、どうやら俺は的を外したらしい。
「同盟と帝国はそれぞれ三千億ぐらいまでは人口を増やす事が出来ます。両国を合わせれば六千億です。それに比べればフェザーンの百億というのは余りにも少な過ぎます。人口というのは国力に直結しやすい。とてもでは有りませんがフェザーンは影響力など発揮出来ないでしょう」
「なるほど、確かにそうだな。平和が続けば人口が増加する。平和が続くほどフェザーンの影響力は小さくなるか……」
ヴァレンシュタインが頷いた。
「フェザーンが同盟、帝国に伍して行けたのは同盟と帝国が戦争状態にあったから、フェザーンの中立が保障されていたからなんです。特殊な状態下でのみ起こり得た状況だった。それが無くなった以上フェザーンの地位が低下するのは已むを得ません。フェザーンはこれからも或る程度は繁栄するでしょうが影響力は徐々に失うはずです」
徒花だな、と思った。フェザーンは人類の混乱の中でのみ人の血を吸って咲き誇った徒花だった。種をまいたのは地球教、最初から豊かな実など付ける事の無い徒花……。人類が混乱から醒めた以上これからのフェザーンは無力な花になるだろう……。
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