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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十八話 新秩序
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です。企業も商人も積極的にイゼルローン国際協力都市を利用するでしょう。帝国にとっては金の卵を産むニワトリみたいな存在になります」
「なるほど、そしてフェザーンは中間貿易で得ていた利益を独占する事が出来なくなった……」
「ええ」
ここでもフェザーンは敗者になっている。同盟と帝国が新たな市場を獲得したのに対してフェザーンは市場の独占を奪われた。
「イゼルローン国際協力都市が栄えれば栄えるほど帝国にとってその重要性は高まります。そしてその繁栄を維持しようと努めるはずです」
「つまり平和の維持か」
ヴァレンシュタインが首を横に振った。
「それだけでは有りません。もし同盟、帝国間で軍事的な緊張が発生しても帝国はイゼルローン方面での軍事行動は挑発や威嚇でさえも控えるでしょう。おそらくは同盟も同じです」
「……という事は、……フェザーンか!」
ヴァレンシュタインが頷いた。
「ええ、フェザーンを独立させたことで帝国も同盟も変なしがらみに囚われることなく軍事行動を起こせます。フェザーン回廊で多少の小競り合いを起こしながらイゼルローン国際協力都市で落としどころを探る、そうなるでしょう。幸いイゼルローンには両国の政府機関が有る。様々なレベルで交渉は可能です。そういう意味でもイゼルローン回廊では軍事行動が起こし難くなる」
「なんてこった」
気が付けばイゼルローン回廊は中立が望まれフェザーン回廊が紛争地帯になろうとしている。当然だがフェザーンとフェザーン商人達の負うリスクは高まる事になる。確かにフェザーンは敗者だ。何一つとして利を得ていない。思わず溜息が出た。そんな俺を見てヴァレンシュタインが声を上げて笑った。酷い奴だ。
ヤンが言った事を思い出した。
“宇宙は今混沌の中にある。人類は一から秩序を築き上げる事になるだろう。どんなことでも可能だし、どんなことが起きても不思議じゃない。これまでの常識はもう通用しない……”
奴の言った通りになった。俺の目の前にいる男がその秩序を作り上げた。また溜息が出た。どれだけの人間が宇宙に新秩序が出来たと理解しているだろう?
「ペイワードは失敗したんです」
「そうだな」
「独立を求めるよりも自らのイニシアチブで同盟、帝国、フェザーンの首脳会談をフェザーンで行うべきでした。そして帝国に対して損害賠償請求を取り下げる代わりに同盟に対して共同で対処しようと提案するべきだったんです」
確かにその通りだ。
「株の返還は上手く行ったでしょうね。国債の返還も全額は難しいでしょうが或る程度は戻ってきた可能性は有る。フェザーン回廊を全面開放して同盟、帝国の直接の交易を認めればイゼルローン回廊を軍事用の回廊に留めおく事も出来たでしょう。そうなれば中間貿易で得ていた利益は減少したかもしれませんがフェザーンは交
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