ぼっち卒業
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匹の子猫の寝床を新たに切り離したマントで作ってやる。そこに寄り添う様に二匹を寝かせてやり、上から更に切り離したマントを掛けてやる。安心しきっている二匹はすぐに眠りに落ちていった。
うむ、久しぶりに癒されたな。ラーメン屋台を引くのは仕事であり、楽しくもあるし充実もしているのだが癒される訳では無い。その点、看病とは言え小動物と触れ合うのは実に癒される。今は軽すぎる上に毛並みも酷いものだが、看病を続ければ大丈夫だろう。
二匹を拾った翌日の明け方、名残惜しそうに寝床から離れて開いている窓から出て行こうとする二匹に声をかける。
「そんな身体で何処に行こうとしているんだ?今回は運が良かったが、次はどうなるか分からんぞ」
「助けてくれたのには礼を言うけど、悪魔の傍に居る訳には行かないにゃ」
オレの問いかけに黒い方の子猫が答える。やはり化け猫の類いだったか。
「契約に関してなら安心しろ。こんななりだがまだ契約を取れる様な歳じゃないんでな。お前達を拾ったのもただの気まぐれだ。出て行くのも別に構わないが、せめてもう少し元気になってからにしろ。オレが見つけるのが30分も遅れていればお前はともかく白い方は死んでたぞ。今もふらふらだ。最低でも2週間は此所に居ろ。此所にはオレ以外に人が来るとしても一人だし、何かあればオレが守ってもやる」
「なぜそこまでしようとするのにゃ?」
「言っただろう、気まぐれだ。まあ、もっともらしいことを言わせてもらうのなら暇つぶしに付き合え。ちょっとばかり新しいラーメン開発に躓いていてな、少し時間を置こうと思っていてる。その間の暇つぶしに付き合え。なんなら二人だけで生きていける様に力の使い方も教えてやる。お前ら、かなり幼いんだろう?」
「なんでそれを知っているのにゃ?」
「ある程度の力が使えれば餓死する程追いつめられるはずが無いからな。詳しい事情を聞き出そうとは思わんが、大体は想像が付く。それでどうするんだ?オレの提案を受けるのか受けないのか」
「本当に私達は何もしなくても?」
「構わん。これでも貴族の産まれだし自分で稼いだ金も十分にある。たかが猫の二匹や少女の二人程度を養えない程甲斐性が無い訳ではない。ああ、ラーメンの試食には付き合ってもらうかもしれないがそれ位だ」
「……おねえちゃん」
ここで初めて白い方の子猫が何かを訴える様に黒い方の子猫を見つめる。姉妹だったのか。
「う〜、お世話になります」
少し悩んでから黒い子猫は頭を下げながらそう答えた。
「懸命な判断だ。さて、少し早いが食事を用意してくる。白い方も今日はスープ以外でも大丈夫か?」
「白い方じゃないです。白音です。おねえちゃんは黒歌です」
尻尾を立てて怒っています
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