高校2年
第五十二話
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ですか!完投せんばエースやなかです!」
「何ィー!」
ガチで言い合いを始めた2人に、グランドの方から浅海の怒声が飛ぶ。
「美濃部!越戸!お前ら何をやってる!喧嘩しに木凪まで来たんじゃないぞ!お前ら2人、宿舎まで走って帰れ!」
「「」」
美濃部も越戸も、その声に我にかえって絶望する。その様子をクスクスと宮園が嘲笑っていた。
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「お前、中々やるな。さすが打っても投げてもイケてるだけあるわ。」
「みみ美濃部さんこそ、やややっぱ三龍のえエースですよ」
打ち解けた様子で、他の部員より随分と遅れた夕食をとる美濃部と越戸。その顔や腕にはところどころ生傷が見える。
「な、何であいつら急に仲良くなってんだ?」
「分からん。ピッチャーいうんは、どうも分からん」
手のひらを返したように仲睦まじい様子の2人に、先に夕食をとった他の部員は首を傾げるばかりだった。
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翌日も朝から練習。内外野のカットプレー、シート打撃や走塁練習など実践練習にも時間をかけながら、一方でフリー打撃や普通の内外野ノックもたっぷりと。朝から晩まで、球場をフルに使って思い切り野球をする。ここまで野球漬けになった事も珍しく、思い残す事のないほど練習した三龍ナインには、充実感とセットになった疲労感が漂っていた。
しかし。
そういう、「気持ちの良い疲れ」なんていうレベルで、この合宿は終わったりなどしないのだ。
「おー、イッツァビーチ!」
「海辺に来るとか、あれか?泳ぐのOKとか?」
ホテルの目の前の砂浜に球場から戻ってきた三龍ナインは集められる。夕暮れに赤く輝く海、風にそよぐヤシの木、白い砂、リゾートそのものの光景に三龍ナインの目は輝く。
「残念。トレーニングでした。」
浅海の目も輝いていた。
Sっ気たっぷりに。
砂浜でクイックスロー、ダッシュ。
足を持っていかれる砂場で、機敏な動きを要求されるのはかなりキツイ。それも、ほぼ1日練習が終わった夕方にこれがある。
リゾート地の光景に目を輝かせていた三龍ナインは一瞬にして苦悶の表情へと様変わり。
「せっかくの合宿だからなー。追い込んでなんぼだぞー。」
それを見て満足そうなのは浅海。
その顔を横目で見て、乙黒は若干引いていた。
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