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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
蒼き魔女の迷宮篇
22.蒼き魔女の迷宮
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優麻がその隙に動いた。
 青騎士の巨大な拳が、横殴りで雪菜を襲う。かろうじてそれを槍で受け止める。
 彼女はそのまま数メートル吹き飛ばされる。

「「姫柊!」」

「雪菜!」

「……大丈夫、です……これくらい……」

 駆け寄ろうとする古城たちを制止して、雪菜が身体を起こす。

「優しい子だな、キミは」

 優麻が膝立ちの雪菜を眺めていった。

「あらゆる魔力を無効化する獅子王機関の秘奥兵器──いくら吸血鬼が不老不死でも、“七式降魔突撃機槍(シュネーヴァルツァー)”に貫かれて、本当に復活できるかどうかはわからない。だからキミは攻撃を止めた」

 槍を杖代わりにして、雪菜が立ち上がる。

「何度やっても同じことだよ。それは自分でもわかっているんじゃないのか?」

 傷ついた雪菜を哀れむように、優麻が言う。たとえ何度立ち上がっても、古城の身体を傷つけられな以上、雪菜に勝ち目はない。

「……んなことねぇよ」

 勝利を確信した優麻を彩斗は睨む。

「まだ勝ったと思わない方がいいぞ」

「どうしてだい? それとも魔力がほとんど残っていないキミがボクと戦うのかい?」

「そうだな……」

 彩斗は不敵な笑みを浮かべる。

「確かに俺には、魔力はもうほぼ残ってねぇよ。それでも……」

 彩斗は床を踏みしめ、駆けた。
 魔力を使えない彩斗はただの他より再生能力がある人間と変わらない。
 それでもその行動は、優麻にとっては予想外だった。
 拳を振り上げる。優麻の顔面めがけて固めた拳を振り下ろす。
 反応が遅れた優麻は、それを受けるしかなかった。

「戦えねぇわけじゃねぇからな」

 魔力がほとんどない身体には自分の拳の衝撃でさえ、骨を軋ませ、筋肉を震わす。

「彩斗! 人の身体になにしてんだ!」

「いや、一発本気で殴りたかったからよ」

 ふらつきながらも彩斗は笑う。

「あとは、任せたぞ、古城」

 古城は、雪菜に寄り添い、彼女の背後から支えた。
 銀の槍を二人一緒に構える。

「古城……どうして……?」

「悪いな、ユウマ。おまえをぶっ飛ばして、俺は俺の身体に戻る。今の身体のままじゃ、いつもみたいに姫柊の血も吸えないしな」

 古城の言葉に、雪菜がムッと唇を曲げる。

「行くぜ、ユウマ──ここから先は、暁古城(オレ)戦争(ケンカ)だ」

 雪菜の手から槍を奪い取り、古城が優麻に向かって突進する。

「古城──っ!」

 優麻は苦悩の声で叫び、空間転移する。
 優麻は、自身の身体を攻撃できない。捨て身覚悟の攻撃も那月がいたからできたことだ。
 優麻の目的は那月の抹殺だ。
 だが、那月のそばには友妃がいる。
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