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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
蒼き魔女の迷宮篇
22.蒼き魔女の迷宮
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ける那月の頭上。石造りの天井だ。
 “雪霞狼”は魔力は無効化できても、質量は無効化できない。
 だが、古城はその場所へと走り込んだ。

「だあああっ──!」

 那月の小柄な身体を担ぎ上げ、そのまま床へと転がる古城。一瞬遅れて落下してきた石塊が、那月が先ほどまで座っていた椅子に降り注ぐ。

「先輩……!?」

 雪菜が驚愕に目を瞬いた。

「悪いな、ユウマ。おまえがスリーポイントを狙っているときの顔は、よく覚えてるぜ」

 埃まみれの顔を上げて、古城は不敵に笑ってみせた。懐かしい幼なじみの得意技を、古城はまだ忘れていない。

「古城……っ!」

「どうしてまだそんなふうに笑うんだ!? ボクはキミを騙していたのに! 犯罪者に創られた、生まれながらの魔女なのに! キミの住んでいる街を破壊して、キミの友だちを傷つけようとしているのに────!」

「ユウマ……」

 悲痛な叫びを洩らす旧友を、古城は呆然と見返す。その視界が突然、赤く染る。
 自分自身の額から血が流れていたのが、目に入ったのだ。

「なんだ……これは……!?」

 血まみれの自分の身体に、古城は驚愕する。
 これは普通の傷ではない。優麻の身体はもはや限界を迎えていたのだ。
 優麻の身体は崩壊しかけている。

「“(ル・ブルー)!”」

 青騎士が再び、天井を貫く。
 天井が再び、崩れ、古城と那月に降り注ぐ。
 優麻は自分の肉体ごと那月を消すつもりだ。
 雪菜が走ってこちらにくるが間に合わない。

 そのときだった。聖堂の壁が音もなく壊れ、そこから二つの人影が姿を現した。
 黒のタキシードを翻す少年と純白の着物に手には、銀色の刀を持った少女だ。

「彩斗君!」

「わかってるっつうの!」

 少年は右腕で空を斬り裂いた。すると落下する石塊が一瞬にして姿を消した。それは空間ごと斬り裂いたようだった。

「彩斗!」

「──友妃さん!?」




 ギリギリで古城と那月を救うことに間に合ったが、状況が理解できずにいる。
 なぜ、ここに那月がいるのかもわかっていない。
 だが、今の彩斗と友妃は来ても戦力になるわけではない。
 あとは、わからないが雪菜と古城に託すしかない。
 優麻の身体はもはやボロボロだ。
 それを見て雪菜が動いた。

「──獅子の神子たる高神の剣巫が願い奉る」

 雪菜が祝詞を紡ぎ出す。

「破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の神威をもちて我に悪神百鬼を討たせ給え!」

 銀色の槍が閃光を放った。閃光をまとって雪菜が疾った。
 “雪霞狼”の刃が古城の肉体の心臓を刺し貫く。
 そう思われたが、雪菜が止まった。銀色の槍は古城の胸の前で止まった。
 
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