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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
蒼き魔女の迷宮篇
22.蒼き魔女の迷宮
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ってしまう前に……」

 ラ・フォリアは悪戯するような笑みを浮かべてこちらに近づいてくる。
 彼女のこの次の行動が予測できた。
 この笑みを浮かべるときは、ラ・フォリアは決まって彩斗に悪戯を迫ってくるときだ。

「いや、それはいいから!」

「そうですか、残念です」

 悪戯っぽく笑いながら肩を落とす。
 だが、正直なことを言えば、今の彩斗には魔力が極端に減っている。
 だから吸血して魔力を少しでも回復したいところだ。
 そもそも鮮血の獅子は他の眷獣たちに比べて魔力の消費量が異常だ。
 正直な話、立っているのもやっとなのだ。

「やはりそうでしたか」

 ラ・フォリアは、なにかを悟ったように彩斗の前まで歩み寄ってくる。
 そして彩斗の頬を両手で挟み動かないように固定する。意外と強い力の彼女の手を振り払うことができない。
 ラ・フォリアをそのまま唇を彩斗の唇に押し当てた。とても柔らかくほのかに温かい彼女の唇に理性が飛びかける。
 再び、口内に鉄の味が広がる。
 吸血衝動が昂る。今回は、抑え込むことが出来そうにない。
 ラ・フォリアの儀礼服とその下のシャツの上のボタンを強引に引きちぎる。はだけた襟元からのぞく新雪のような白い肌がのぞく。
 わずかにのぞくボリュームのある胸の谷間がさらに吸血衝動を昂らせる。露わになった首筋目掛けて、牙を尽きたてる。
 伸びた牙がわずかにラ・フォリアの首を傷つけたところで我に返る。

「あぶねぇ……」

「我慢しなくていいんですよ」

「いや、流石に今回はいつもよりもまずいかな……」

 その理由は、もともと吸血行為に彩斗が抵抗があるのとアルディギアの騎士たちがいる中で、王女の血を吸ったあかつきには、彩斗の死は間逃れない。
 接吻をしたということが万が一ラ・フォリアの父親に知られればそのときはアルディギア王国騎士団対伝説の吸血鬼にもなりかねない。

「わたくしは、構いませんわ」

「俺が困るんだよ!」

「そうですか。それでは……」

 ラ・フォリアは、両腕を彩斗の身体の後ろに回す。そのまま強く抱きしめて胸に顔をうずめさせる。
 スベスベとした肌と柔らかな二つの感触が彩斗の顔を包み込む。彼女の甘い香りに再び吸血衝動に昂る。
 体感として十数分くらい彼女に抱きつかれていた気がする。

「今回は、これで我慢しますわ」

 ラ・フォリアは悪戯っぽく笑みを浮かべる。
 やはり彩斗は、ラ・フォリアが少し苦手だ。彼女の表情からはどこまでが本気でどこまでが本気じゃないのかがわからないからだ。
 別に彩斗は彼女が嫌いなわけではない。むしろ彼女のことは好きだ。
 それは好意なのかは自分でもわからない。それでも彼女が彩斗のためにここまでやってくれている
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