暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
蒼き魔女の迷宮篇
22.蒼き魔女の迷宮
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を操っている時点で彩斗の肉体への負担は、とてつもないものだ。
 そもそも、“神意の暁(オリスブラッド)”の眷獣は、一体でもとてつもない魔力を消費する。
 今は、ラ・フォリアの血を少しでも吸血したおかげでギリギリ保てている。
 それでも、あと数分しか持たないだろう。
 早くあいつを止めなければいけない。

「彩斗君、早く決めるよ。もう時間がないんでしょ?」

 心の中を読まれたようで、ドキッとする。
 友妃は無邪気な笑みをこちらに向ける。

「ボクが隙を作るから、彩斗君はトドメをお願い」

 友妃は一歩前へ出て、銀の刀を漆黒の獣へと向け、祝詞を唱える。

「──獅子の御門(みかど)たる高神の剣帝(けんてい)が崇め奉る」

 彩斗は黄金の梟を消滅させる。すると漆黒の獣はターゲットをこちらへと変え、疾駆してくる。

虚栄(きょえい)の魔刀、夢幻の真龍、儚儚(ぼうぼう)の真理を打破し、全なる者の偽心暗鬼(ぎしんあんき)を絶たせ給え──!」

 爆発的な霊力が銀色の刀に注ぎ込まれる。
 その時だった。友妃の身体を漆黒の獣の鋭く尖った爪が薙いだ。
 その一瞬の出来事に彩斗は動くこともできなかった。

「……う、嘘……だっ……ろ」

 声が洩れた。

「うん。これは嘘、幻だよ」

 切り裂かれた友妃の肉体は、まるで霧のように姿を消した。
 そして、漆黒の獣の背後から激しい閃光を放つ銀の刀を持った友妃が現れる。“夢幻龍”の一撃は、漆黒の獣を切り裂いた。
 苦痛の声を上げる漆黒の獣。

「今だよ、彩斗君!」

 思考が止まっていた彩斗に友妃の声が響く。固まっていた身体が地を蹴り上げ、一気に距離を縮める
 動きが鈍っている漆黒の獣の身体を鉤爪が薙いだ。
 万物を狩りとる、“戦火の獅子(アレス・レグルス)”の鉤爪は、物体、液体、気体、さらには空間でさえも破壊し尽くす破壊神の力を持つ。
 漆黒の獣は、まるで鋭利な刃物で切断せれたように腹から真っ二つにぶった切れる。
 漆黒の獣は空間から狩りとられ、とてつもない絶叫とともに姿を消滅させる。

「そちらも終わったようですね、彩斗」

 魔女姉妹の触手を消滅させたラ・フォリアと紗矢華がこちらへ歩み寄る。
 魔女姉妹は、特区警備隊(アイランド・ガード)が捕縛した。
 空間の歪みは消えた。魔女姉妹が消えたことで残る問題は、仙都木優麻。いや、優麻の母親ただ一人となった。
 彩斗は、絃神島の北端部の海上に浮かぶ、小さな島を睨む。

「あそこに行くのですか、彩斗?」

 こくりと頷く。

「あのバカはなにをしでかすかわからねぇからな。姫柊のことも心配だしな。それに優麻の目を覚まさせなきゃいけないからな」

「それでは、行
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