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ノヴァの箱舟―The Ark of Nova―
#6『ファーストリべリオン』:4
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魔王》の称号を持つ者達を、宝具として従えていたのだ。その中には、シュートの信奉した邪神もいた。

 その時、シュートの忠誠心は完全に邪神から《魔王(キング)》へと移ったのだった。彼の為す神殺しについて行こう。彼の歩む覇道を切り開く刃となろうではないか。シュートはそう誓った。

 同時に、シュートが決意したこともあった。それは、ともに仲間となった逆さ十字の少女を救う、という事。

 獄中にいた時、何度も何度も彼女がうなされるのを聞いた。その中で、彼女は幾度となく『幸せが欲しい』と呟いたのだ。幸せ。それは、シュートとも無縁の感情だった。だがそれでも、シュートはそれに焦がれるほど幸せを持っていなかったわけではないのだろう。だが、ククリは幸せに飢えていた。それを得るためだけに、気の遠くなるほどの年月を費やしてきた。

 だから――――



「……そこまでにしてもらおうか、逆賊(ファンパン)共よ」

 思考を引き戻したのは、若い男の声だった。闘気のみなぎる、戦士の声だった。顔を上げると、遠くに赤い一団が見えた。全員が《真》の名で知られる箱舟国家の戦闘衣に身を包んでいる。声を発したのはその先頭、長い黒髪をポニーテール状に結んだ男だろう。

 《教会》側の、援軍――――。シュートは、緊急用に所持していた連絡用の護符を使用して、キングに連絡を取る。帰ってきたのは頼もしい声。もうしばらくすれば、彼らもこちらに到着するだろう。

 理性を取り戻したククリが、珍しく真剣な表情で近寄ってくる。相手が危険な存在であると、シュートよりも鋭い本能で直感したのだろうか。

「クロート、あいつらは?」
「……《教会》の高位戦闘師団だろう。纏ってる雰囲気が雑兵と違う」

 暗に『詳しくは分からない』と答えたシュートだったが、本当は彼らの正体に心当たりがあった。真紅に染まった《真》国の戦闘衣。武器をもたぬ、徒手空拳の騎士たち。それを束ねる黒髪の長――――ただ、そんな馬鹿な、という疑いの感情の方が強かったのだ。《教会》の最高位戦闘師団である彼らが、こんな場所に来ることがあるのだろうか、と。大体この《箱舟》――――Dランク《箱舟》《アルレフィク》はそこまで重要視されている《箱舟》ではなかったはずだ。

 だが、その見立ては彼ら本人たちによってあっさりと覆された。

「我らは《七星司祭(ガァト)》が一人、コーリング・ジェジル様にお仕えする、《十字騎士団(クロスラウンズ)》第九師団だ。貴様たちを掃討せよとの命により、此処に参じた。コーリング様が統治を任されていらっしゃるこの《箱舟》を襲った罪、その命を持って償ってもらおうか」

 やはりか――――という苦い確信と共に、なるほど――――という納得。第九師団、特にその団長であるチャイネイ・ズ
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