#6『ファーストリべリオン』:4
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。彼女は凄まじい量の魂を保有していた。それは全て、かつて『ククリ・アメミヤ』と名乗った少女たちの魂だった。さらに現在の彼女自身が、すでに250年近く前から生きているという。
そんな事実を知った、直後のことだったと思う。毒を含んだ笑みを浮かべた、眼鏡の神父が姿を現したのは。
『神を殺してみたくは有りませんか?』
その神父は、笑顔でとんでもないことを口にした。
ところで、クロート・シュートはいわゆる《邪教の徒》である。彼は世界の支配者たる《教会》の掲げる、《教皇》及びその上に立つという《神》には従わず、その存在すらも定かではない邪神の教えに従った者だった。シュートの多くの行動は、その邪教の法に乗っ取ったもので、その行いによってシュートは『異端』と判断され、何度も断罪を受けた。
因みに『異端』は一歩間違えば『|反教会活動』になる危険な行為だ。
現在、世界で大ぴらに『異端』が許容されているのは、《教会》が手を出せない独立国家《ギリシア神国》だけである。
シュートがその時獄につながれ、ククリと出会ったのも、『異端』の行為に対する断罪だった。
そこに、金髪の《毒殺神父》が現れ、契約を持ちかけたのだった。
シュートは、『以前の自分』の記憶の一部を取り戻した。同時に、今までは所持していなかった《刻印》を入手したのだ。
シュートの刻印、《十字架》の能力は『永劫回復』。あまねく傷を延々と治癒させることができる。シュートはこの能力で消滅した体を治癒し、自らの体を駆動させている。致命傷を与えられ、一撃死しない限りは延々と回復し続ける体は呪とも取れるが、シュートはそれを祝福と受け取った。
一方、ククリもまた《刻印》を手に入れていた。シュートと対をなす《逆十字》の能力は、『消滅しない限り不死』。一撃でその存在を消滅させることができなければ、たとえ体が肉片ひとかけらすら残っていなくとも蘇る。魂が存在として残っているからだ。さらに彼女は保有する何百もの数の魂を身代りに使う事で、その魂の分の記憶を失う代わりに消滅すらしないという凄まじい性能を誇るようになった。彼女もまた、その能力で失われた体を再生し、駆動させた。
神父は、シュートとククリの右目だけを、治癒することを許さなかった。それが何のためなのかは教えてもらえなかったが、呪を運んできた神父の言葉だ。何か真実があるのだろう。
そして、神父……リビーラ・ロイ・セイに連れられて、ククリと共に牢獄を脱したシュートが、彼の本拠地だという辺境の《箱舟》で出会ったのは――――圧倒的な能力を持った《魔王》だった。
その総力の気配は、今まで出会ってきたあらゆる英雄の中でも随一だった。彼はその力をもってして、あらゆる《
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