SAO編
第二章 曇天の霹靂
7.打ち砕かれる自信
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うやって……?
「……!」
地面のPoHが体を捻るような動きを見せた。これは恐らくソードスキルのモーション。
回避を、と思ったところで気付く。
――体が……動かない!?
まるで金縛りにあったかのように槍を突き出した姿勢で固まってしまった。
視線だけを自分のHPバーに向けると――そこには一時行動不能を表すアイコンが!
「ハッハ!」
「ぐっ……!」
跳ね上がるPoHと同期して、下段から逆袈裟に光が走った。
固まっていたところにモロに喰らい、強烈な衝撃に数メートル後方へ吹き飛ばされる。
だがスタン状態から解放されたタイミングと被り、なんとか倒れずに着地できた。
「――」
が、攻撃を受けた体勢のまま、しかし動けない。
ノックバック状態。
自身の重量に比例した一定以上の重量を持つ重攻撃技系の一撃を受けると、例え防御したとしても、強制硬直のバッドステータスになることがある。
つまり小柄でもない俺の重量をすらノックバックに陥らせるほどの強力な一撃を食らったということになる。
しかし、彼奴の武器は両手用の大剣でも戦斧でもない。
短刀。軽量系武器の代表たる短剣カテゴリに属する獲物だ。
――それほどまでに強力なソードスキルだったということか……!?
恐らく十秒もせずに硬直は解けるだろうが、それまでの数秒間は隙だらけの状態。
この好機を、PoHが逃すはずが――――
「……貴様は今、不思議に思っている」
「……?」
だが、意外にも降りかかってきたのは攻撃ではなく、嘲るような言葉だった。
「何故――――自分の攻撃は殆どダメージを与えられていないのか」
「!?」
フードの隙間から冷笑を覗かせ、奴がゆっくりと近付いて来る。
「何故――――倒れたままの状態からノーモーションでソードスキルを放てたのか」
「……」
持っているのは厚刃の短刀。されど脳裏に過るは巨大な鎌を携えた《死神》。
ノックバック状態は既に解放されたというのに、何故か俺の体は動くことを拒否している。
「何故――――こんなちっぽけな獲物でノックバックが起こりえたのか」
PoHの歩みが止まる。
クハッ、と奴が噴き出した。
「簡単だ……」
口が、三日月に裂ける。
「テメェが…………――《弱ぇ》からだよォォォォッ!!!」
「――ッ!!」
PoHの姿が急激にブレた。
同時、紫光が三つの線を描く。ソードスキル!
ようやく動き出す俺の体。攻撃を弾くために奴の斬撃の軌道上に槍の刃を置く。が――
「な……!」
槍の先端が、消えた。
――
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