SAO編
第二章 曇天の霹靂
7.打ち砕かれる自信
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る瞳のこと。
あたしたちは気にならなくなっていたけれど、やっぱりラピリアさんたちには表面通りにしか見えなかったみたいだ。
――きっと傷ついている。そして、悲しんでいる。
感情が表情に出ないからといって感情が無いわけじゃない。
キリュウさんが経験した厳しい修行が、『冷静に』という言葉が、感情の振れを封印している……と彼自身が思い込んでいる。
実際に封印されているわけじゃないから、嬉しければ笑うし、悪意を向けられれば傷付く。
客観的に見すぎている、つまり自分自身を他人として見ているせいで、自分の本当の感情が見えていない。
だから、心が傷ついても気付かない。どんどんと擦り減っていく。
――それは……ダメだよね。
キリュウさんが優しい人だって、あたしは気付いてしまったから。
そんな彼の心を、傍で守りたいと思った。
「うんっ」
あたしは立ち上がる。
「どうしたの?」
レイアが首を傾げる。
それに勢いよくあたしは応えた。
「行ってくる!」
「え、どこへッスか」
「キリュウさんとこ!」
「ええっ?」
今から? と驚く二人。
確かにあたしもそう思うけど、思いついてしまったら止まらない。止められない!
「今のキリュウさんを、やっぱり一人にさせたくないんだよ!」
◆
「――――なるほどなァ……」
「ッ!?」
仰向けに倒れたPoHの胸を穿ち止めをさした――と思っていたところで、静かに嗤うような声が響いてきた。
フードの影から覗く鉛色の瞳が俺を映す。
「貴様の……正体が解った」
「……?」
――俺の正体?
何を言っているんだ? いやそれよりも、これだけ攻撃を与えたのにも関わらず、何故この男は平然としていられる……?
俺は目を凝らした。PoHのHPバーに視線を合わせる。
「な……!」
――HPが…………一割すら減っていない、だと!?
「貴様は恐らく、現実世界では武術経験者だったんだろうなァ」
待て。俺がPoHに与えた攻撃は強弱合わせて約十回。それで全体の一割弱――いや、5%くらいか? いくらソードスキルは使っていないとはいえ、急所に何度も攻撃を与えたというにも関わらずダメージがあまりにも低すぎる。いったい何故――――
「――だが、《ゲーマーとしては素人》の様らしい」
瞬間、突き出していた槍に被るように、視界に横一文字の閃光が走った。
「!?」
――ソードスキル!?
いや、奴がモーションをとっていた様子は伺えなかった。
そもそも仰向けで倒れている状態で、剣を振りかぶることも出来ないというのにど
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