SAO編
第二章 曇天の霹靂
7.打ち砕かれる自信
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けて反射的に目を瞑らない者など滅多に居ない。
読み通り、フードの影からちらりと見えた彼奴の双眸は閉じられていた。
この隙に攻撃を畳みかける。
「ハッ! ヤァ! タァッ!!」
股間、鳩尾、額。正中線に三連突きを見舞い、その流れを絶やさぬまま至近距離から柄による打撃を四回。
間を置かずに石突を薙ぎ、足を払う。
そしてバランスを崩したところへ――――
「―――ァア!!」
一回転からの遠心力を込めた強烈な薙ぎ払い――《弓風》。
横腹に一撃を受けたPoHが吹き飛んだ。地面に倒れた所に更なる追撃を!
――これで、決める……!
「フッッッ!!」
そして俺は仰向けに倒れたPoHの心臓目がけて槍を突き出した。
◆
ログハウスのリビングの窓から、あたしは外の様子を見ていた。
視界に映るのは鬱蒼した森とその奥に続く土肌の小道のみ。ノリダーさんたちやキリュウさんが向かっていった主街区に通じる道だ。
キリュウさんが彼らを追って行ってから既に二十分以上が経った。もうノリダーさんたちと接触している頃だろうと思う。
「だいじょうぶかなー、キリュウさん」
「そうッスね〜、結構傷ついていたみたいだったッスしね……」
「心配、だね」
呟いたあたしに、チマとレイアが返してくる。
「……」
街へ送ろうとしてラピリアさんたちに断られたとき、キリュウさんは顔には出してなかったけど、確かに傷付いていた。
今までの付き合いで彼の表情の微かな違いに気付けるようにはなったけど、それに気付いていながら、だけど自分はなにも出来なかった。
常に無表情。だからこそ初見の他人には冷たい印象を持たれてしまう。
思考は冷静。だから感情が動かない。他人の感情が伝播しない。思いを共感しにくい。
――と、キリュウさん本人は思っているんだろうけど。
実際はそんな自分に、冷たい人間に見えてしまう自分に、常に疑問を抱いている。悩んで悩んで、悩み続けている。そんな普通の年頃の男の子だとあたしは思う。
そして、そんな彼とあたしたちは縁が在ってパ−ティーを組んでいる。
何年も修行したという凄く強いキリュウさんと、ごくごく普通の一般女子中学生でしかないあたしたち。
そんなあたしたちは、このSAOという世界で半年以上、命を懸けた戦いを続け、共に気の置けない仲間になっていった。……とあたしは思っている。
ノリダーさんやパラリラさんが亡くなったこと、とてもショックだった。今でも心の整理が出来ているとは言えない。
だけど、今気にしなきゃいけないことはもっと別にある。
キリュウさんだ。
コンペッドさんやラピリアさんに言われた冷たく見え
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