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SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第二章  曇天の霹靂
7.打ち砕かれる自信
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なく、プレイヤーと対峙した場合の、ではないのか?
 それは……それは違うのではないか?

 死ぬかもしれない、命が係っている状況なのに。

 ――何故、助け合わねばならないプレイヤー同士で戦うことを想定しなければならない!?

 この考えこそが、俺の思考を混乱させている原因だった。
 PoHだけが、このような考えを持つ特殊な存在なのだとしたらまだ救いはある。
 しかし、それが何人もいたとしたら?
 俺はこのSAOを、モンスターを倒して第百層を目指すゲームだと思っていたが、それが根本から覆されるということになる。

 ――敵はモンスターだけではなく、プレイヤーをも念頭に置かなければいけないと、そういうことなのか?

 死を、相手を殺すことを、どうしてそこまで軽んじることが出来る?
 これがゲームだからか? 遊びとしてそれが当たり前になっているからか?
 そうなのだとしたら……SAOはなんと残酷な世界なんだ。
 俺が先ほどルネリーたちを守るためにPoHとの決闘を――この男を殺すことを決意したように、この世界に閉じ込められた約一万人ものプレイヤーたちも、生き残るために誰かを殺したり犠牲にすることもあり得るということだ。

 ――狂っている。

 この世界も、PoHも、この状況を創り出した茅場明彦も。
 それとも、それらを考えようとしなかった俺が悪いのか?

 先ほどのPoHの「他のソードスキルを知ろうともしない」という発言。
 これは半分合っていて半分間違っている。
 モンスターだってソードスキルを使う。アルゴからの情報や今までの経験から攻略する階層に分布するモンスターの対策はしっかりと立ててから戦っていた。
 しかし、それがプレイヤーが扱うソードスキルについてとなると話は別だ。
 プレイヤー同士で戦うことを視野に入れていなければ、それほど多くのソードスキルを覚える必要は無い。一つの階層に出てくるソードスキルを扱うモンスターは多くいるが、それらが扱う技の数はけして多くはない。一匹のモンスターに対して三つ四つぐらい覚えておけば事足りる。
 事前に少し確認するだけで問題は無いのだ。モンスターだけが相手だった場合なら。

 ――プレイヤー相手を想定していなかった俺の落ち度なのか……。

 それがこの事態を、悪意を持つプレイヤーに殺されそうになっているという状況を引き起こしたというのか。

「Huuu.……そろそろ、終わりにしようか」
「く……っ」

 PoHが隙無く短刀を振り上げ、最後を告げる。
 武器もなく、右腕も切り落とされ、HPはあと一割もなく、回復や装備し直す暇もない。
 そのうえ技術の差も、圧倒的能力差で埋められている。
 絶望的な状況。打開策はない。

 ――これが、ゲーム
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