二十ニ話 出待
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「んなもんあったっけ?」
「あるんだって。この前友近がその話してたじゃん」
してたような、していなかったような。
「まぁとにかく、駅とは逆方面の方に10分程度歩いたら緑色の暖簾のかかったやつあるから、そこ行ってみ?結構おすすめ」
駅とは逆ということは、昨日行った女子寮とは間逆ということだ。
「ふ〜ん。おいしかった?」
「まーそれなりだな。無難っちゃ無難てとこ」
「そっか、まぁサンキュー。そこ行ってみるわ」
「おーよ。いってらー」
伊織にお礼を言って寮を出る。
外に出た瞬間、太陽の光が目に入り、そのまぶしさから逃げるために手をかざす。
そして、しばらくして外の明るさになれて今日はいい天気だな、なんて思いながら空を見上げる。
そんな時、
「あ、彩君」
ふと自分の名前が呼ばれたことに気が付いた。
「?・・・あれ?先輩?」
空から視線を落とすと目の前に先輩がいた。
「うん。偶然だね」
(そうだね・・・俺の寮の前で会うとか超偶然だわ)
「どうしたんですか?寮に何か用でも?」
「ううん。別に、ただ散歩してただけ」
嫌な予感がする。
何故か背筋が寒くなってきた。
「そうなんですか・・・じゃ、俺はこれで」
こんなにすぐ話を切り上げるのは知り合いとしてはどうかと思うのだが、この先輩にはこれくらいで良いと思うのだ。
「え・・・せっかく会ったんだし、暇だったらどっか行かない?」
先輩はこちらに近づいてきながらそう言う。
「暇というか、俺これから朝飯なんで」
流石に先輩はもう食べただろうと思い、俺はそう言う。
「あ、そうなんだ。私も一緒していい?なんか私もお腹少しすいちゃって」
「え・・・あ、まぁ構いませんけど」
流石にそう言われると断れない。
「あがりと」
先輩はニコリと笑うと俺の真横にぴったりとくっついてきた。
「食べに行くとこ決まってるの?」
「まぁ、一応は」
「そっか、じゃ行こう」
そう言って先輩は俺を促す。
ふと思う。
偶然寮の前、しかも俺の寮の前で会うことはあるのだろうか。
女子寮は男子寮よりも遥かに駅に近い。
大抵食事や買い物をするときは駅前だったり、ポロニアンモールだったりする。
男子寮の方向にくることはほとんどないはずだ。
しかも散歩ときた。
昨日影時間に入ったのに、外を好んで出かけようとするだろうか。
何か怪しさを感じる。
(・・・この人、もしかしてずっと寮の前で待ってたとか言わないよな?)
先輩との付き合い方を本格的に考えていかなければならないと思わずに
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