第三章 異変
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井を見上げる。
「そうだな」
私は2人と共に屋上の第二栽培施設へと向かった。
新資源「PSM――Pluripotent Stem Material――」エネルギー。万能物質Eとも呼ばれているそれは数十年前、世界中で流行した病気「血結病」(凝固因子をもつウイルスであり、肺によって血管内へと入ったとき、血液凝固を血管内で引き起こし、広範囲内で血栓を引き起こす)ウイルスを捕食する人工細菌のRNAと、ある物質A(企業秘密)を結合させ遺伝子操作して完成した無機質生命素材である。ある作用で絶命またはその組織を崩すと多量の電気と磁力を拡散させる。これを利用し新燃料として利用できるようになった。他にも付加重合すれば浄化作用をもち、圧縮すれば金属質の素材になる。また、薬やそれを含んだ食物としても利用され、病気を防ぐ作用がある。正に万能物質だ。
私たちの会社「NCC『ニュークリエイトカンパニー』」はその新資源を研究開発、そして生産にも手をつけてある国にとって大切な企業のひとつである。
優秀さもあってか、私たちのような若者でも重要な役職に就くこともある。ただ、失敗は許されない。
「まぁ試作品だったから屋外に出してあるサンプルがわずかだったのが救いだな。よかったなミカド」
念のために防護服を着たセイマはガスマスク越しで笑う。
私の担当しているのは遺伝子改良とその栽培。栽培というのはさておき、この万能物質には欠点がある。
「まぁよかったはよかったけど、勿体ないなぁ……早く栽培しないと」
ひとつは新素材なだけあって今までの化石燃料より圧倒的に少ないのだ。これでは資源として使えない。
そこで、動植物にそれを注入し、新資源を作らせる臓器や器官で濃縮に作れるように遺伝子改良を施す。これは動物より植物で栽培した方が効率が良かったので今では植物のみで生産している。より効率よく、効果的に生産させるのが私の役目だ。
「そうだな、でもこれ結構デリケートだし、気をつけろよ?」
「わかってるって。てか汚染させたの俺じゃないし」
もうひとつは外的影響されやすく、また生命であるため脆いのである。ちょっとした温度変化や湿度、光量等で組織的に形質的に変化したりする。汚染物質なんてもってのほかだ。薬になるどころか猛毒を持った生物兵器にでもなりかねない。故に屋内の工場で栽培を行っているのだが、敢えて外部で育てることで耐性の強い種ができるのかもしれない等の研究要因で行っていることもあるが、今回はタイミングが悪すぎた。
「よりによって放射線を浴びせるとは……」
そう、放射線を浴びたのだ。屋外の植物はみんな被曝し、汚染してしまっただろう。
だが、核が投下されたのは夜明け前だったので夜間勤務がない国民はみんな被爆せずに済んだので安心する。
それにして
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