第二章
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第二章
「だとすると」
ここで、だった。小笠原のことを思い出したのである。彼は修和の名前が出たところで一瞬表情を暗くさせた。それは何故かと考えたのだ。
「この事件は確か」
自宅で自分のパソコンを見る。そこにはっきりと同じクラスの中でいじめがあったと書かれていた。それを苦にしての自殺だと。書かれていたのである。
そこまでわかればだった。彼はさらに深く調べることにした。それと共に自分のサイトでこの事件に関する情報を募集しさらにもう一つのことについても募集をはじめた。そのうえで身元がわからないようにしたうえでサーバー等足元がつきそうなものを日本の警察やそういった機関の手が及ばない外国に移したのだった。まずはそういったことを行ったのだった。
そのうえで修和高校に身分を偽って入った。今度受験する中学生の兄という触れ込みでだ。名刺も偽造してそのうえで入ったのだった。
出て来たのは若い爽やかな顔立ちの男の先生であった。白く渡り廊下に円柱がある西洋の宮殿を思わせる立派な造りの学校の中でその若い先生と会ったのである。
「はじめまして」
「どうも。お話は聞いてます」
その先生は明るい声で問うてきたのだった。
「この学校の教師の古館です」
「古館さんですか」
「今年この学校に赴任したばかりです」
こう彼に答えるのだった。
「理科を教えていまして」
「理科をですか」
「ええ。あらためてこの学校に戻って来たのです」
岩清水に対してこう言ってしまったのは彼の一生の過ちであった。だがそのことには全く気付いていなかった。それも全くである。
「懐かしいですね」
「懐かしいですか」
「はい、とても」
暖かい目での言葉だった。言いながら学校を見回す。そのうえでまた言うのだった。
「この学校で三年間学んでいまして」
「それで学校を出られてですね」
「はい、そうです。大学で教職課程を経てです」
そしてこの学校の教師になったというのである。
「そのうえで学校に戻って来ました」
「ではこの学校のことは」
「よく知っています」
その目は暖かい。岩清水が見ても学校の中は実に奇麗なものである。その白い宮殿を思わせる造りの校舎だけではない。緑の木々も実に美しい。色とりどりの花達まで咲き誇っている。白い学生服の襟と袖のところが奇麗なブルーで彩られている。それがまた美しかった。汚らわしいものは何も見えなかった。そう、見た目には。
「隅から隅まで」
「そこまでですか」
「先生達も知っている人達ばかりですしね」
学園の教師陣も知っているというのである。
「どなたも」
「そうですか」
「はい。それでですが」
ここまで言ったうえで身分も名前も偽っている岩清水に対して問うのだった。
「学校のどういったことをお知りにな
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