SAO編
第二章 曇天の霹靂
6.狂気との邂逅
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AOを攻略するためだと、協力しなければ出来ないと思っていた。
――なのに、どうして……っ。
「どうして貴方は、そんな所で笑っているんだッ……
――――《ポー》さん!!」
「くっくっ…………ぁあん?」
木の枝の上で身を屈めて含み笑いをしていた人影。
頭を覆うフードから微かに覗く昏い瞳が俺へと向く。
「ああ……貴様か」
ノリダーさんのPTへ一時的に加入したという人物。
黒のローブを纏い、フードを深くかぶっていたため顔をまともに見れた試しはない。
どんなに話しかけても常に無言、無表情を崩さなかった彼――ポーさんが。
木の上から身軽に降り立ち、今、俺の目の前で冷酷な笑みを浮かべていた。
「……何故、貴方は……」
思わず口をつくが、俺はもう解っている。解ってしまっている。
アルゴのメッセージにあった《熟睡しているプレイヤーを殺す方法》と《一時的PT加入プレイヤーの危険性》。
これを見た時に、俺は思い当った。
極度の精神的疲労を受けて熟睡していただろうノリダーさんを殺せる可能性が有る人は三人。
そのうち、もっとも可能性が高いのが同室だったコンペッドさんとポーさん。
しかし彼らがノリダーさんを慰めているのを見た俺としては、彼らを疑うことはしたくなかった。
――だが。
一人だけ、彼らと関係の浅い人物がいる。知り合いに頼まれてこのレベリングに急遽加えることになったというその人物。
それはあまりにも、時期が合い過ぎている気がする。
――しかしそれもただの可能性。根拠の無い推測に過ぎない。
だからそれを確かめるために、俺はラピリアさんたちの後を追ったのだったが……
「……ポーさん。やはり、ノリダーさんを殺したのは貴方だったの――」
「ポーポー、ポーポーと……貴様はいったい誰の事を言っているんだ?」
「?」
唐突に言葉を遮られ、訳の解らない問いに一瞬思考が停止してしまった。
眼前の男の眼が、その頭を覆うフードの端から微かに覗く。
「まったく、アルファベットも読めない奴が多くていけねぇ……くく」
此方を覗く鈍色の瞳。
それは、このプログラムで造られた仮想体の中でも、全くと言っていいほど《情》を感じない双眸だった。
「良く聞け,俺の名は――――」
ぞわりと、首筋に悪寒が走る。
俺の心の中で、この得体のしれない男に対して警戒の鐘が五月蠅くなっていく。
口端を歪めた男が、息をゆっくりと吐き出すように、その名を告げた。
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