SAO編
第二章 曇天の霹靂
6.狂気との邂逅
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をより冷酷に見せる結果となる。
「なんとかっ、言えよ……!」
たいていの者は俺と距離と取るか逆に喧嘩を売ってくるかのどちらか。
コンペッドさんは引っ込みがつかなくなったのだろう。
遣る瀬無さをぶつけるかのように、彼は拳を振り上げた。
――それもまた構わない。
誰かに鬱憤をぶつけることで少しは彼が冷静になれるのだったら、殴られ役になることにも否はない。
「――やめなって! コン、落ち着いて!!」
「は、放してくれっ、ラピリアさん!」
だが、コンペッドさんの拳が振り下ろされる直前、ラピリアさんが止めに入った。
「誰もあんたのことを疑ってないから! あんたがリーダーを殺したなんて思ってないから! そうだよね、キリュウくん!?」
「……はい。勘違いさせてしまい申し訳ありません」
「ほら、ね? 彼も謝ってるんだし、あんたも落ち着きなさい」
「……くっ」
ラピリアさんの説得に、突き飛ばすようにしてコンペッドさんは俺から離れた。
「ごめんね、キリュウくん」
「……いえ」
背を向くコンペッドさんに寄り添いながら俺に謝罪してくるラピリアさんに首を振る。
彼だって恐らく混乱している。そして俺にも彼が怒った原因はある。
俺がコンペッドさんを責める謂われはない。
「わたしたちね、一旦主街区に戻ろうと思うの。この調子じゃあまともに戦闘なんて出来そうにないし――」
「あ、あの! だったらあたしたち、街まで送りますよ!」
今後の予定を疲れたように言うラピリアさんに、今まで黙っていたルネリーが口を開いた。
確かに、戦力も減り、精神状態も十全とは言えない彼らではまともに戦えない可能性は高い。主街区までは一時間近くかかるし、出来れば付いて行ったほうが良いのは確実だろう。
しかし。
「ありがとう、ルネリーちゃん。でも……ごめん。それはいいよ」
「え? ど、どうしてですか?」
苦笑しながらのラピリアの拒否。
ルネリーは反射的にその理由を聞いた。
「世話をかけるのは悪いから、というのがひとつ」
「そ、そんなの!」
「もうひとつはね……わたしも、コンの気持ちが少し解るから……」
「?」
どういう意味か。
四人が疑問に口を閉ざしたままでいると、ちらりと俺を見たラピリアさんは眼を伏せてから口を開いた。
「その、ね。ワザとじゃないって解ってるし、そんなつもりもないことも解ってるんだけどね……キリュウくんのその顔を、その瞳見ていると、なんだか自分たちが責められているような気がして、ね……」
――!?
「解ってる! ルネリーちゃんたちが信頼を置いているキミがそんな人じゃないのは解ってるんだけど…………でも、ごめん」
しば
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