SAO編
第二章 曇天の霹靂
6.狂気との邂逅
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気付かないのは考えられない。
だからこそコンラッドさんたちも頭を抱えている。何故なんだ、どうしてなんだと。
「……ですが、本当にノリダーさんが亡くなったのなら、その原因があるはずです。何か心当たりはありませんか?」
彼らの言う通り、もしノリダーさんがログハウスから出ていないとしたら、それはそれで問題が出る。
――《圏内》で死人が出た。
他人事ではない。そんなことを見過ごすわけにはいかない。
ルネリーたちに及びそうな危険は可能な限り排除しなくては。
そんな想いで質問した俺だったのだが。
しかし、彼らから返ってきた思わぬ答えに、動揺は隠せなかった。
「――なんだよ……オレたちのどっちかが殺したって言いたいのかよ!?」
「……え」
いきなりコンペッドさんに胸倉を掴まれる。
そんなことはいいのだが、彼の言っている意味がよく解らなかった。
「圏内で死ぬはずがない。ログハウスからも出てない。でもノリさんを最後に見て一緒にいたのは同室のオレたちだ! だからオレたちが怪しいと、お前は言ってるんだろ!?」
――彼は、何を言っている……?
誰もそんな意図で発言をしていない。
ただ俺は、冷静にノリダーさんの死因を確かめようと――
「オレじゃない……オレじゃねぇんだっ! オレはノリさんを殺してない! なのに、なのに――――そんな《冷たい眼》で、オレを見るんじゃねぇよっ!」
ガン、と。
頭を打たれたような衝撃が走った。
実際に殴られたわけじゃない。
ただ、彼が言った《冷たい眼》という言葉が俺の過去を少し思い出させた、それだけのこと。
俺には友達が居なかった。
祖父との稽古のために遊びは全て断っていたというのも勿論理由のひとつだが、それ以上に問題だったのがどのような時でも変化のない俺の《表情》だった。
『常に冷静であれ』
それは物事を常に客観的に捉え、感情に左右されずに選択するということ。
幼き頃より祖父のその言葉を忠実に実践してきたが故に、感情を殺していた俺は周りから何を考えているか解らない不気味な奴と噂された。
いつだったか、直そうと思ったこともある。しかし、まるで顔に張り付いた能面の如くその無表情は一向にとれることはなかった。
感情を見せず、遊びにも付いてこない。
そんな俺と友達になろうというモノ好きは、中学三年になって出来た唯一の友人、二木だけだった。
――俺のこの顔が、また他人を傷付けた。
自分自身への自己嫌悪。
しかしそれも客観的に自分を見ているということ。冷静に己を見つめているということ。
それが俺の無表情を、この眼付きの悪い顔
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