SAO編
第二章 曇天の霹靂
6.狂気との邂逅
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すが、今日は休みませんか?」
仲間の死を悲しむことは当然だし、それを悪く言うつもりもないが、このまま泣き続けるわけにもいかないだろう。
それに、この状態のノリダーさんたちの傍に、あまり長くルネリーたちを居させたくはなかった。感受性の強い彼女たちのことだ、しばらくはこの事を引き摺る可能性が高い。他人のために心を痛めることが出来るというのは美徳だと思うが、この世界では一概にそうとも言えない。
戦闘中に他のことを考えるのはそれだけで命取りになる。SAOはそういう世界なのだ。
――俺にはこの三人を護る義務がある。
感情は伝染する。仲間が亡くなったばかりで悲哀の只中に居るノリダーさんたちの近くにいれば、ルネリーたちも悲しみに囚われてしまう恐れがある。
故に、一旦時間を置く事でノリダーさんたちには冷静になってもらう。
そういった意図を持った提案だった。
「…………そう、だな。そうしようか……」
弱々しく頷くノリダーさん。
項垂れる彼を支えながら、四人は個別スペースの寝室へと入って行った。
後に残るは俺と沈黙したままの三人。
「……俺たちも、今日はもう休もう」
俺はルネリーたちにそう促した。
彼女たちにも感情を整理する休息が必要だろう。
「キリュウさん」
ルネリーが、レイアが、チマが、俺を見上げてくる。
無言だが、言いたいことは何となく解る気がする。
「……次に似たような機会が在った時、俺たちは同じ過ちを起こさない。それが俺たちに出来る、唯一のパラリラさんへの弔いだ」
――自分には何が出来るのか?
パラリラさんの死に対して、恐らくこう考えているだろうルネリーたちに俺は応えた。
冷たい言い方に感じられたかもしれないが、たったの一、二時間話した程度の関係である俺たちには仲間であるノリダーさんたちの気持ちを推し量ることは出来ないだろう。
ならば、せめて彼の死を無断にしないようにすることが俺たちに出来る精一杯だと思う。
「…………はい」
視線を落として頷いたルネリー。
これ以上は俺も何も言えず、再度彼女たちを促して俺たちはそれぞれの寝室へと入って行った。
翌朝。
目を覚ました俺は居間へと移動する。
俺が一番だったようで、しばらくするとルネリーたち三人が起きてきた。
「……お早う」
一晩経ったが彼女たちの様子はどうだろうか。
三人の様子を見ながら挨拶をした。
「おはよう、ございます」
――昨日よりは幾分かほどマシ、といったところか。
いつもの元気な彼女らではないが、それでも昨日に比べると格段に顔色は良くなったと言えるだろう。後はノリダーさんたちが少しでも気
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