第八十九話
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神格を持っている。ただし、豊饒神の方向が違った。トールと言う神は農耕をつかさどっていたのに対して、お前は収穫物をつかさどる。もしお前がトールなら、あの時俺が成長させていた植物の生長を乗っ取れたはずだからな。そこからも、お前がトールでない可能性は高まる」
「・・・その口をとじよ、神殺し!」
より大ぶりになった攻撃を余裕でよけて、その腹部に本気の蹴りを加える。
その一撃で神は跳び、そこに追い打ちをかける。
「そんなこと、してもしなくても我の自由であろう!我はトールなり!」
「違う!お前はトール出ないのは、そのハンマーからも明らかなことだ!」
そう言った瞬間、神の動きが一瞬止まった。
自覚はあるんだな。だから、ここで止まった。
「そのハンマーが雷鎚ミョルニルだというのなら、なぜお前は投げるたびに拾った!?」
俺の言葉が効いているのか、神は防戦一方になっている。
「そのハンマーが雷鎚ミョルニルならば、それは投げるたびに自らの手に戻ってくるはず。だが、そうなったことは一度もない!その方が戦いを有利に進められるにもかかわらず、一度たりとも起こらなかった!・・・いや、それ以前に武具の持つ特性など、お前たちに自由にできるはずがないんだ!」
自ら作り上げた武具ならともかく、トールのミョルニルはもらいものだ。
だから、投げれば必ず手元に戻ってくるという属性は、あの武器には存在しない。
あれは・・・ミョルニルでは、ない!
「さて、そうなればお前がどんな神なのかは自然と分かってくる。トールと起源を持つ・・・バルト神話のペールコンスを起源とする神であり、雷鎚を持つフィンランド神話の天空神であり主神でもある神!様々な自然現象を司り、雷雨の名を冠する神!」
「・・・口をとじよ、神殺し!その名を言うな!」
神が何か言っているが、俺は気にしない。
さて、この神の名を明かそうか!
「お前の名はトールではなくウッコ!そして、その雷鎚はミョルニルではなくウコンバサラ!」
「言うなと言っただろう、神殺し!」
次の攻撃は余裕でよけて、口を動かす。
「我はその名を名乗りたくないのだ!口を慎め、神殺し!」
「俺の知ったことじゃない!それに、その雷鎚がその名を名乗ることを引き出すというのなら、俺がその雷鎚を・・・ウコンバサラを、ぶっ壊してやる!」
「否、否、否!これまウコンバサラにあらず、ミョルニルである!」
はぁ・・・これは、言っても聞かないな。
だから俺は放たれた雷鎚・・・ウコンバサラを抱え込む形でとめて、言霊を唱える。
「我は我に仇なす力を許さない。我はその力が存在することを許さない。故に我はその力を破壊する。存在を許さぬが故に忌むべき力を破壊す
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