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少年と女神の物語
第八十九話
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いがあるのが戦場であると!」

 そして、俺は再び口を動かす。

「そう言った属性を持つ神は、そう何柱もいるわけではない。それも、稲妻をつかさどる雷鎚を持つ神なんて、さらに数は少ない!」

 そう、この時点で俺が持ってる知識の中からなら二柱(・・)まで絞ることができる。
 そして、その二柱のうちのどちらなのかは・・・

「ええい、うるさいぞ神殺し!」

 ここからどう語るかを考えていたら、神の方がそう大声をあげてきた。

「よかろう、我自ら名乗ってくれる!」
「・・・まさか、読みが外れたか・・・」

 俺は小声でそう言い、内心かなり焦っていた。
 もしも俺の読みが・・・この神が、自らが何者なのかを知られるのを拒んでいるのでないのなら、俺のこれまでの行為はただこいつを侮辱しただけのものだ。
 それでは・・・優位には、決して立てない。

 そして・・・

「わが名はトール!戦をつかさどり、雷鎚ミョルニルを操る神である!」

 そう、名乗った。
 俺はそんな様子に、ため息をひとつつく。
 ああ、これは・・・

「さあ、我は名乗ったぞ!貴様も名乗りを上げ、武具をとり、ただただ殺しあおうではないか!」
「・・・・・・」

 これは、うん・・・



 本気で、この神に期待しすぎたな。



「・・・ふざけるなよ、お前」
「・・・何?」

 俺が本心を漏らすと、神は不満そうにそう声を上げた。

「ふざけるな、って言ってんだよ。あれか、お前にとってはこの戦い、誇りをかける価値もないってか」

 あーあ・・・駄目だ、もうこの戦いは楽しめそうにない。
 それでも、ほっとくわけにはいかないし・・・仕方ない、やる気は出ないけどそれでも殺そう。

「・・・神殺し、貴様、何を・・・」
「本心から聞いてんだよ。ああ、それとな。俺は今回の戦い、もう名乗るつもりはないから」

 そう言いながら蚩尤の権能で作り出した槍を握り、神を軽蔑の眼で見る。

「真の名で名乗りもしないやつに、敬意を払う必要もない。どんな意図があるのかは知らないが、それだけは譲るつもりはないぞ」

 そう言いながら一瞬で懐に入り、両手の槍で腹部を貫かせる。
 長さの都合上回収はできないので、傷口を蹴って後ろに跳び、再び槍を作り出す。

「・・・何を言っている。我は、確かに名乗りを」
「あげたな。ただし、それが認められるのはお前がトールだった場合のみだ。でも、お前はトールじゃない・・・トールじゃ、あり得ないんだよ」

 そう言いながら距離をとり、芝右衛門狸の権能で海の上に立つ。
 さっきまでは跳躍を繰り返してたんだけど、いちいち使うのももう面倒だ。

「まず最初に、お前もトールも豊饒神としての
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