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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十七話 国際協力都市
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、芸術、学問などの分野における研究機関、教育機関などを作り人的交流を図るのです。協力出来る分野は沢山有る筈です」
「……」
「それにイゼルローン回廊を全面開放すればこの回廊を使って貿易が行われます。当然ですがイゼルローン要塞は中継基地となる。このイゼルローン要塞を利用しての交易、商業活動も盛んになるでしょう。人が集まり物が動けば金も動きます。このイゼルローンを同盟と帝国の物流の中心、金融の中心にするのです」
ブラウンシュバイク公が“ウーム”と唸った。
「卿はこのイゼルローン要塞をもう一つのフェザーンにしようと考えているのか」
「そう言えるかもしれません。しかし公的協力機関はフェザーンには有りません。いずれフェザーンもイゼルローンにある公的協力機関に参加するでしょう。そうなれば本当の意味でイゼルローンは国際協力都市になります」
ブラウンシュバイク公がまた“ウーム”と唸った。いや公だけじゃない、シュタインホフ、ゲルラッハ、随行員の中からも唸り声が聞こえる。
「イゼルローン要塞を国際協力都市にか……」
「しかしイゼルローン要塞は……」
「うーむ」
ブラウンシュバイク公は天井を見、シュタインホフは首を振っている。ゲルラッハは唸るばかりだ。
「イゼルローン要塞を軍事要塞から人工都市にする事に抵抗が有るかもしれません。しかし国際協力都市にした方が帝国にとってもメリットが有ります。帝国は物流、交易、金融の中心都市を所持するのです。言ってみればフェザーンを所持するに等しい」
イゼルローン要塞は人口五百万が収容可能な人工都市だ。このうち百五十万程は駐留艦隊の乗組員だろう。そして要塞守備兵がほぼ同数ぐらいは居るに違いない。残り二百万が軍属、民間人だろう。人工都市へ変わるとなれば駐留艦隊は必要ない、周囲へ派遣する哨戒部隊だけで十分だ、五千隻も有れば足りるだろう。そして要塞守備兵も大幅に削減出来るはずだ。軍属も必要無くなる。国際協力都市として十分に使える。
いずれはイゼルローン要塞だけでは狭くなるだろう、その時は新たに要塞を造って増設すればいい。徐々に徐々にだがイゼルローン回廊は帝国と同盟を繋ぐ交易、物流の大動脈になる筈だ。そして国際協力都市イゼルローンは平和の象徴になる。イゼルローン回廊を使用しての戦争はし辛くなるのだ。同盟市民もイゼルローンが無力化されたとなれば大いに喜ぶだろう。
帝国暦 487年 6月 16日 イゼルローン要塞 アマーリエ・フォン・ゴールデンバウム
「陛下、ブラウンシュバイク公が御戻りです。ゲルラッハ財務尚書、シュタインホフ統帥本部総長、レムシャイド伯を伴っておいでです」
「分かりました。飲み物の用意を」
「はい」
侍女が私の前を下がった。エリザベートが嬉しそうな顔をしている。
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