二十一話 確認
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シャドウが、俺達の視界に入る。
自分の恐怖を紛らわすために、そして先輩を少しでも安心させるために、より強く手を握る。
シャドウが、通路を通り過ぎるのを待つ。
(頼む、通り過ぎてくれ!)
10秒程度にも感じたし、10時間にも感じるような時間が流れた。
シャドウが俺達の視界から完全に消えるのを確認した。
つまり、この瞬間に、シャドウは最低でも5m以上先の範囲の人間を感知できなくて、それで目と、そしてあるかはわからないが耳で標的を捉えるというのがわかった。
「ふぅ」
俺は少し息を吐くと、ドアを閉め、完全に寮の中にはいる。
「・・・説明してくれる」
先輩にはまだ説明していないため、わけのわからない顔をしている。
「あの化物がどうやって人を見つけるのか知りたかったんですよ」
先輩は首を傾げる。
「昨日は俺達二人ともがあの化物の目の前にいました。だから、あいつらが何を目印にして俺達を見つけたかわからなかった」
先輩は黙って聞いている。
「だから、さっきスーパーボールを化物の先に投げました。それで化物が反応するか見たかったんです」
「・・・それで?」
「結果は、あくまで予想ですが音と視界で目的を見つけている可能性が高いことがわかりました」
俺は続ける。
「俺が言いたいのは、この奇妙な空間では寮から出なければ問題ない、ということです」
先輩はいまだ俺達が影時間にいるせいか不安が拭えていないが、とりあえずは納得してくれたようだ。
実際はシャドウがどっから沸いてくるかわからない以上、これが確かなことだといえないのだが、とりえずは、
(あ〜〜、もうこんなことしたくねぇ)
いくら安全のためとはいえ、こんなことをするのはこれが最後にしたいと願わずにはいられなかった。
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