SAO編
第二章 曇天の霹靂
5.積み重ねた自信
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でしか解らないと思う。
しかし、だというのにも関わらず、その体躯、その動作、その行動に対する体の動きは自然で、矛盾を感じることは一切なかった。
つまり、モンスターの動き一つ一つにちゃんとした意味があるということに他ならない。
このハルピュイアの場合なら――。
呼吸をするように上下する胸や肩。これは相手が攻撃を仕掛けてくるタイミングを計ることに利用できる。
目が在るモンスターはその視線の方向が露骨に攻撃箇所を教えてくれる。
両腕の翼を羽ばたかせていなければ宙に浮けない、そして鷹のように鋭く長すぎる爪は地面のような平坦な場所へは足を着けにくい。このことから、翼を振るって羽根を投剣スキルで放ってくる時は、その技後硬直で一瞬羽ばたくことができなくなるために十分に地面との距離を取ってから行う。それが逆に投剣スキルの合図と解る。
敵の体を知ることは、敵の行動を予測するうえでかなり重要な要素だ。
祖父との長きに渡る修行で、対人間戦には初見でその動きを見切ることも難しくない俺だが、流石に動物や動く植物が相手ではその見切りも難しかった。
――難し《かった》。それも過去形になりつつある。
今まで数多くのモンスターと戦った。
その敵の情報は俺の脳に、そして体に確実に蓄積されていっている。
動物型はそれほど見切ることは難しくない。人間と同じ、筋肉と骨格の動きでだいたいの行動は予測出来る。実際、今までの階層の敵で例えば四足歩行の獣型モンスターなどは、レベルによって攻撃の威力や速度、特殊効果などは違えど、その攻撃の《行動》や《予備動作》にはほとんど差異は無かった。
逆に全く行動の予想が出来ないのが植物型や幻獣型を始めとした現実の地球上にはあり得ない形状のモンスターだった。
海栗に大きな一つ目が付いた様なモンスターに遭遇したときは流石に言葉を失くした。
しかしそれも観察してみれば問題ないことが解る。一見するとその姿に戸惑いがちだが、特殊な姿だからこそ、そのモンスターの動作は限定的なのだ。
特殊攻撃を持つものが多いが、逆に言えばそれだけだ。
その見た目から相手の特殊能力を想像する、ひとえにこれに尽きる。
このSAOの世界に来てから、俺が一番鍛えたのはこの《想像力》だ。
人間型、亜人型は元より、もはや動物型や獣人型のモンスターもその行動を予測することは俺には容易となった。
「…………」
行動予測。
――眼前のハルピュイアは両翼を大きく開いた。
次の瞬間には叩きつけるように対の翼を振り下ろすだろう。
力強い羽ばたき。つまり浮力を得て上昇したいと考えている。
上空から行われる攻撃パターン。羽根による短剣スキル、もしくは足の爪による落下蹴りをする予備動作と思われ
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