SAO編
第二章 曇天の霹靂
5.積み重ねた自信
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、質なら北と言われる所以だ。
「気を付けてくださいね!」
「うん、ありがとう。そっちもね」
お互いに武運を祈り合い、俺たちはログハウスを出た。
手を振って別れる間際、投げキッスをしてきたノリダーさんの頭をラピリアさんが叩いていたのを見てルネリーたちは苦笑していた。
「――ふっ……」
短い呼気と同時に踏む込む。
即座、左手で押さえた槍の中腹を基点として石突を持つ右手を回し、穂先を跳ねさせる。
右回転、左回転と交互に穂先を回して三体の敵――《ハルピュイア・フェザーシューター》の放った複数の羽根を弾き落とした。
羽根は投剣スキルで放っているため、直後に相手は隙が出来る。
「ハイッ!」
それを見逃さずにレイアが鞭で攻撃する。二匹には通常攻撃を、一匹はソードスキルによって技後硬直の時間を延ばす。
攻撃力の代わりに妨害特性が高い鞭とはいえ、通常攻撃とソードスキルの特殊効果とでは相手に与える影響は雲泥の差だ。
しかし、通常攻撃を与えただけの二匹のハルピュイアには、すぐさま追撃が入る。ルネリーとチマだ。
「はああああああ!!」
籠手同化型の丸盾を前に掲げたルネリーの突進からの体当たり。盾による打撃の効果で敵が僅かに浮き上がり、その瞬間に力一杯の斬撃を食らわせた。
《軽盾防御スキル》と《片手用直剣スキル》の熟練度を上げたことで最近覚えた、複合ソードスキル《ブイチャージ・バスター》。
「てぇぇぇぇっ、ぃやあああああ!!」
踵を軸に二転三転と大剣ごと回転するチマは、その遠心力を乗せた大剣で斜め下からの強烈な振り上げ斬撃を見舞い、豪快に敵を斬り飛ばす。
吹き飛ばし効果を持つ重単発ソードスキル《ヒッター・スマッシャー》。
既にHPは半分近くまで減っていたハルピュイア二匹は断末魔と共に光の粒子となって空気に溶けた。
「……!」
対して俺は、鞭ソードスキルのスタン効果から抜けた一匹に接近し、その猛禽類の如き両足の鋭い爪による攻撃を紙一重で全て避けていた。
このSAOという世界は本当によく出来ている。
今まで見たモンスターはもちろん、猛禽類と人間の女性が融合したような姿をしているモンスターである眼前のハルピュイア。
全てのモンスターの行動には、それ相応の《手間》がかかっている。
現実の人間の場合で言えば、何かを殴ろうとする時、《手を握り締めて拳を作る》《拳を振り上げる》《腰を捻る》《視線で当てたい個所の確認》と、軽く思いつくだけでもこれだけの手間――《予備動作》を挙げられる。
対象が人間だったらそういったことも解り易いが、モンスターなどのような人間型ではないものの動作は条件の近しい実在する動物の観察、または想像
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