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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―勇ましき戦士達―
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 闇魔界の戦士長とのデュエルに敗れた俺は、この異世界に倒れていた俺を見つけてくれた、カードの精霊《リリィ》が乗った竜に助けられた。ライフポイントが0になる、という事態からは避けられたものの、あのままでは確実に、俺は戦士長の攻撃に倒れていた。デュエルから逃げるなんて、デュエリストらしくない……などと考えている余裕などない。何故ならば、この世界でデュエルに負ければ、この世界から消滅してしまうのだから。

 そうなればどこの世界に行くかは、この世界のカードの精霊たちにも分かっていないらしい。……まさか、俺たちの世界に帰れるという事はないだろう。まだ俺は消えるわけにはいかない……十代に謝罪し、明日香を見つけだすまでは。

 そう意気込んで、精霊たちの避難所から出て行ったは良いものの……結果は惨敗。明日香を見つけだすどころか、最初に戦った相手に敗北する始末だ……それがたとえ、相手が闇魔界の最強の戦士だとしても。

 そして竜に乗って戦士長から逃げだした時、竜を操るリリィは彼女特有のたどたどしい口調のまま、俺にこう頼んで来たのだった――『覇王を倒す救世主になって欲しい』と。

「救世主……?」

 俺はリリィとともに《漆黒の闘竜》――確か闇魔界の戦士とのユニオンで、効果を発揮するモンスターだったか――に跨がりつつ、リリィの問いかけに応えた。漆黒の闘竜は敵から見つかり難いように、建物の影から建物の影を縫うように飛んでいて、あたかもジェットコースターのような様相を呈していたが、スピードは出ていないためあまり苦ではない。

「はい……救世主、です」

 リリィも《漆黒の闘竜》を慣れない様子で操りながらも、俺の言葉に小さながらもはっきりとした様子で、救世主と言ったのがが聞き間違いではないと、俺に言い聞かせるように話した。俺はそのリリィの言葉に、頭をカリカリと掻きながら返答する。

「救世主なんて資格は俺にはない。この世界を救うなんて目的はないし、そんな力もない」

 俺の目的はこの世界にいる筈の明日香を見つけだし、デュエルアカデミアがある元の世界に帰ること――この世界の実情への同情やリリィへの恩などはあるし、その目的の過程で闇魔界の軍勢とデュエルをすることはあるだろうが、救世主になどなる気はさらさらない。

「世界を救うなんて……しなくて良いんです。でも、その力を……私たちに貸して頂けませんか?」

「私……『たち』?」

 リリィの返答は何やら引っかかる言い方であった。彼女もまた、あの避難所にいるだけの精霊だと思っていたが、その口ぶりでは……闇魔界の軍勢と戦う者たちの、仲間であるような。俺のその疑惑の視線に気づいたのか、リリィは顔を俯かせて、言いにくそうにしながらも答えてくれた。

「異世界、から来た、戦士族の皆さんが……戦
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