第十章
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第十章
「それでいいね」
「わかりました。それにしても」
彼等の言葉にここまで応えてであった。小笠原に顔を戻して言うのだった。
「小笠原君」
「う、うん」
彼は一切喋らなかった。顔面蒼白になったままそこにいた。岩清水に声をかけられてそれでようやく我に返ったといった感じだった。
「総務部っていいところだね」
「そ、そうだね」
戸惑いながら応える彼だった。
「僕もそう思うよ」
「全くだよ。本当にいじめは最低だよ」
ここでも言うのだった。
「絶対にやったらいけないね。いや」
「いや?」
「過去にそういうことがあっても駄目だよね」
「そうだね」
顔は蒼白のままだった。
「僕もそう思うよ」
「それじゃあまたね」
申し訳なさそうな顔を作っての言葉である。
「今日は悪いね。変なこと言って」
「いいよ。じゃあまたね」
「うん。じゃあ」
この日はこれで終わった。しかしであった。岩清水は牙を磨き続けていた。そうしてある時。支持者達に対してネットでこう呼び掛けたのである。
彼はメールをくれている強硬ないじめ反対論者達に対して呼び掛けたのである。
『いじめっ子の一人の居場所がわかった』
その修和高校の話だ。
『一人のな』
『何っ、何処だ?』
『何処ですか?それは』
『修和高校です』
そこだと同志達に教えたのだった。
『そしてそれを行っていた人間もです』
『母校にいたんですか』
『そのいじめっ子は』
『それは教師です』
このことを言うとだった。彼の同志達の文章の中身が一変したのだった。そこからは表情は窺えない筈なのにはっきりとわかったのだった。
『えっ、先生!?』
『教師のですか』
『はい、二人います』
言ったことは一つだけではなかった。
『二人です』
『何か腐った高校なんですね』
『そんな連中が教師をやっていたのか』
『許せませんね』
文章の中にも憤りが出て来ていた。今彼等はメッセにおいて話をしている。その中で話が紛糾し興奮したものになっていたのである。
『それでですけれど』
『岩清水さんの御考えは?』
ネットにおいてはハンドルネームを使っている。しかしこのメッセではお互い本名で呼び合っている。その方が同志意識を強く持て合い個人情報を知り合うことで相互にリスクを負わせることを意識させそのうえで秘密も保てるという岩清水の考えからそうしているのだ。
『どうされるんですか?』
『徹底的にやります』
これが彼の考えであった。
『いじめは絶対に許せませんから』
『そうですよね、それじゃあ』
『皆で学校に行くんですね、その修和高校に』
『その通りです』
まさにそうだと答える岩清水であった。
『しかしです。まずは隠れて下さい』
『隠れるんです
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