合宿編
十九話
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にせよ、これで逃げられる言い分は立った。アレクは疲労困憊の身体に鞭打って起こし、出て行こうとする……が、目の前にコップが差し出された。
「はい、アレクの分だよ」
にこりと笑ってフェイトは言うが、アレクの脳は音声変換していた。執務官からは逃げられない、と。
だが、こんな思考を悟られてはならない。精一杯の笑顔で受け取る――
「……アリガトウゴザイマス。デハ、失礼シヤス……」
――ことは出来なかった。引き攣った笑いにしかならなかった。
だが、脱出したい気持ちは変わらない。それどころか増大中。フェイトの横にズレれば、扉まで数歩しかない。
挙動不審な動きになりつつも、歩を進めようとした……が、後ろから肩を押さえつけるように掴まれた。
「大丈夫、僕は気にしないから。ゆっくりしていこうよ……ねっ?」
「エ〜リ〜オ〜……ッッッ!!!!」
アレクは恨みがましい視線を投げるが、エリオの目も必死だった。
元々、香弥路からは身長を盗られた等の言い掛かりがった。今回は湯場の事件に加え、手には乳製品もある。また言い掛かりを付けられるに決まっている。
だがアレクが居るならば、宥和は望める……と信じている。それに事件の発端はアレクにあるのだから、付き合うのが義というものだ。
そう思いながら押さえつけるエリオと逃れようとするアレクに、柔らかい笑い声が掛かる。
「……フェイトさん?」
「ううん。クロノとユーノにもこういう所あったなぁ、って……」
十四年来の付き合いに成るクロノとユーノは、顔を合わせれば今でも軽口のやり取りをしている。男同士だと童心に帰る、と義姉の言葉を思い出しながら、微笑ましいと言わんばかりのフェイトに、エリオはなんとも言えない気持ちに成る。
だが、何の事かアレクには一切解からない。つーかクロノとユーノって、誰? と首を傾げる。
「クロノさんはフェイトさんのお兄さんで、ユーノさんはフェイトさん達の幼馴染だよ」
「ほー……ん?」
捕捉を入れるキャロに相鎚を打ちながら、ふと気付く。
今エリオの意識は他へと移り、止める者は居ない。つまり、離脱可能。
「じゃ、俺はこれで――」
「アレク」
「――ぇぇえい?」
家族団欒をお楽しみくだされ、とアレクは去ろうとしたが、先読みしたかのように振り向くフェイトに固まった。執務官からは逃げられない。そんなテロップが脳内に流れた。
いったい何を言われるのか。内心で身構えるアレクだったが、続く言葉に虚を突かれた。
「折角知り合ったんだし、これからもエリオと仲良くしてほしいんだけど、お願いしていいかな?」
「へ? ……いや、まあ、それくらいなら別にいいですけど……」
態々いう事か、と親心など知りはしないアレクはそ
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